第4話 仮面舞踏会
あれから10年経った。
ミーナは未だに帰ってこず、テルは隣町へ引っ越し、ルーシーは知らぬ間に行方不明。
皆は元気にしている…と信じたい。
私は今は舞踏会に来ている。
17歳から参加できる舞踏会。
私の憧れだった。
華やかなドレスを身につけ、髪をアップにし、男性と踊る。
良い出会いがあるといいのだけど。
脇に置いてある椅子に腰を下ろしていると声をかけられた。
「あなたはもしや、レセフィーヌでは?」
「えっ…ルーシー、?」
黒いパーカーを着ていないが、闇のように黒いタキシードを身につけている。
「あぁ、やはり。」
口元がキュッと上がる。
「ルーシー、何で急にいなくなったの?どこに住んでるの?」
華麗な動作で口元を手で覆われた。
「今は私と踊って頂けませんか?姫君。」
「…喜んで。」
ルーシーに手をとられ、ホールへ出る。
一応書いとくが、私はただの平民だ。
仮面で表情は分からないが、お互いを見つめ合い、踊る。
「レセフィーヌはさ、ミーナがどうなったか知っている?」
踊りながら、ルーシーが私に問う。
「…殺された?」
「当たり。」
ニヤっと笑うルーシー。
「ミーナはあの後、まず牢屋に連れて行かれたんだ。そこで一週間放置。」
私はクルッとターンをする。
「そして、クタクタになったミーナはその後、国王から直々に拷問を受けたんだ。」
ルーシーが私を抱き上げ、ターン。
「拷問内容は、手の甲に釘打ちだったり、電気を流されたり、水に落とされたり色々。」
「そんな事したらすぐ死ぬわ」
「死ぬ直前で止めるんだ。そして落ち着いたら、再びする。」
「苦しみながら死ぬのね。」
「そう。」
私は段々怖くなってきた。
「私、ルーシーの事をもっと知りたい。」
ルーシーが微笑んだように見えた。
「僕も同じこと思ってたよ、レセフィーヌ。」
赤い瞳 向日葵 @redmagnet
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