第3話 幼なじみの集い

 「ねぇ、この仮面。はずしてみたいと思わない?」

 近所の資材置き場の影にて、その禁断の言葉が発せられた。

 「ダメよ、ミーナ。」

 「どうして?」

 ミーナがいたずらっ子のように微笑む。

 「皆がはずさないからじゃないのか?」

 「違うわよ、テル。」

 「じゃあ、何だよ、レセフィーヌ。」

 ミーナは睨むように。テルは興味津々な顔で。ルーシーは静かに私を見たと思う。(黒いフードを被っているからよく見えない)

 「本当に愛する人と2人っきりのときだけよ。一人のとき以外はずしていいのは。」

 数分間、何かを考えるように静かなまま。

 「どうして?」

 「そんなの、知らないわ。」

 「じゃ、今からとってみるね。」

 好奇心旺盛、自信に溢れ、美しいミーナから予想外の一言が出てきた。

 「おい、やめろよ!」

 「そうよ、何言ってるのよ!」

 ルーシーは真顔のまま黙っている。

 「やってみるのよ。」

 耳に手をかけ、パッと仮面をはずすルーシー。

 

 …初めて見るルーシーの目を、私は一生忘れることは無いだろう。 

 血のように赤く、大きかった。

 息を飲むほど美しい。

 私、テル、ルーシーは何も言わずにただ見とれていたと思う。


 しかし、聞いたことの無いサイレンが近くの電信柱から鳴りはじめたのだ。

 「ウォンウォンウォンウォンウォン…」

 「え、なに。なにが起こったの!?」

 私が何かミーナへ言おうと口を開いたとき。黒い団体が走ってきて、ミーナを取り押さえた。

 兵隊に捕まったのである。

 「キャーー!!何すんの…」

 特殊部隊だと、いつだったかお母様が仰っていた気がする。

 ''仮面をはずしたら、兵隊さんが来て、捕まるのよ。その後の事は誰も知らないわ。''

 

 ルーシーが真っ黒のパーカーのフードをとる。稲穂のような輝かしい金髪。とがった耳には銀色のリング。そして彼は呟く。

 

 「その後の事は誰も知らない。」

 

 

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