誰にでも、妙に腑に落ちない体験の一つや二つ、あるのではないか。 たとえばそれは、二階の窓に映ったかに見えた人影であり、寝床で感じた締め忘れの襖の隙間から覗き込む誰かの視線であるかもしれない。 あれは何だったのだろう? と思い返して、背筋がふいに粟立ってしまう。 そういった怪談の妙がこの物語にはあると、僕は感じた。 風呂上がりにうっかり読んで、せっかく温まった身体が冷えましたからね――。
視える人には視え、視えない人には視えない。個人的には視えなくてよかったなと思っています。本作の主人公は、視えてしまった人。不運ですね。ですがなぜ……跨がないといけなかったか?それは読んでのお楽しみ。思い出しながら話しているような文体で、より生々しく迫って来ます。事実は小説より奇なり。最後は大きな波乱アリ。
引っ越しを機に、身の回りに起こる怪奇現象。金縛りはストレスが原因といったん納得するが……。驚きの結末が待ってます。