主従の恋というテーマの歴史は、少なくとも私の人生よりははるかに長い。一方、チート異世界転生というジャンルの歴史は短い。
ところで、チート異世界転生という新しいジャンルでは、「まともな」恋愛が描かれることは少ない。チートという誘蛾灯に女性が集まる場合が多いからだ。だから私は、このジャンルは、ラブ「コメ」はともかく恋愛劇との親和性は著しく悪いと見ている。
この作品は、従者に懸想する主人と忠義を尽くす従者という組み合わせを描き、チートによる「まがい物の」恋愛を否定するシーンで終幕を迎える。
チート異世界転生において、ゼロから恋愛のために努力する男という新たな組み合わせの幕開けと私はみる。だからこそ、このシーンで終わっていることを私は惜しむ。
だからあえて、敬愛をこめてこの言葉でレビューを締めくくりたい。
続きはよ。
「メイドが冥土に送ってさしあげましょう」
そんなダジャレな決め台詞がなぜかカッコよく決まってしまうチート無双のメイド、アイちゃん。
メイドならではの装備を武器に、鮮やかに怪物を倒しご主人様をお守りするメイドの鑑のような女の子です。
そんな彼女を異世界生活のパートナーに選んだ主人公は、転移前にはメイド喫茶に通いつめていたという超奥手でした。
現れるモンスター達を悉くアイちゃんに退治してもらい、すべてのお世話をアイちゃんに託していた主人公ですが……。
ストーリーの終盤、彼はアイちゃんとのとあるやり取りをきっかけに、自分がアイちゃんをパートナーに選んだことの意味について考えます。
本作は第一部ということで、彼の本当の異世界ライフはここからスタートといっても過言ではありません。
強く正しく美しいアイちゃんを応援しながら、主人公のこれからの奮闘を生暖かい目で見守りたいと思います(^^)