第10話


種田との連絡は急に途絶えた。

もう返信はこないのだと悟ったときに、やっと連絡先をブロックできた。



悲しかった。

涙はいくらかでた。




結局、私は自分から逃れられなかった。

捨てられることでやっと、彼から離れられた。




しばらくは苦しいのだろう。

泣く夜が何度かくるのだろう。


でもいつかはその気持ちも。薄れていく。



後戻りはできない。

戻るべき場所じゃないよそこは、と、友達は笑った。


私はもう前に進むしかないのだ。



「今日はどうだった」

私の中の私が聞く。

「良い日だったよ。楽しかった。」

自然と、そんな言葉がでた。

「じゃあまだ生きなきゃね」

「生きるよ。だって。」

「ん?」

「まだ私は私を生きてない。やりたいこともやらなきゃいけないこともいっぱいある。」

「うん。」

「もっと身勝手に。自由に。生きたいの。もっと笑える日々がほしいの。」



たった2ヶ月間のこと。

これほどまでに濃い2ヶ月。

得たものはあったのだろうか、今の私には分からない。










そんな浮気のハッピーエンド。



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ハッピーエンド みなみ @misukasazu

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