白と青は絶対的運命

姫桐 角

白は青に染まりゆく

小鳥が目の前を横切っていくが彼女は気付かない。

だって、彼女は青髪の彼に一目惚れしてしまったから。


「おはよう、ご飯出来たよ。...もう!コハクったら」

コハクは小鳥に夢中で母の声が聞こえていない。

ちゃんと食べてね、と呆れた声で朝ご飯を置いて母は娘の部屋を出た。小鳥なんて、いつでも来るのだ。窓から見る景色は色鮮やかな花や草木が生えていてとても綺麗で、自然を愛するコハクには家がまるで楽園だとか。ついついコハクは毎朝小鳥と遊んでしまう。山奥だから近所の人なんていないし当然友達も近くに住んでいない。遊ぼうとしてもわざわざユニコーンを呼ぶだなんて時間がなくなる上に面倒くさい。黄色や青、ワクワクするような珍しい小鳥たちを見るのは朝から元気が出て特別感もあるし良い事だらけだ。

そんな気持ちのいい朝を今日も迎えていた。今は午前九時、服を着替えるために仕方なく小鳥から離れて窓を閉めた、はずだった。

(ど、どど、どうして、、!!?!)

突然、窓の外から綺麗な青髪をした少年が現れた。それはあまりにも美形すぎて、そして何よりもコハクのタイプだった、まさにどストライク。ユニコーンの種類が全く一緒という事に運命すら感じるほど。これは、一目惚れってやつだろうとコハクは既に分かってしまった。その分照れているのが丸分かりだ。青髪の少年はドタバタしている方を見た。少年の目には白色で艶のある長髪の可愛らしい少女が映っていた。それはまさに、コハクだ。コハクは少年と目が合い、恥ずかしくなってきた。あれは林檎なんじゃないか?そう勘違いしてしまうほどに。

落ち着きを取り戻した。今、コハクの向かい側には青髪の少年が椅子に座っている。

「あ、あの、えと、」

コハクは慌ててしまい頭の中が真っ白になった。

「こんにちは、庭とも知らずに堂々と入ってホントにゴメン!!あと、わざわざありがとう。」

「ぜ、全然大丈夫です!!えとえと、私はコハク・クリライナです。16歳です...。」

少年はコハクよりも大人びていて、対応もやっぱり落ち着いている。それに対してコハクはまだオドオドしていて全然落ち着きがない。だが、自己紹介は忘れない。それがまた子供っぽいところだ。

「ああ、自己紹介がまだだったな。僕はラルク。ラルクって呼んでくれ。歳は君と一緒だ!だから敬語とかナシにしような。」

両者の簡単な自己紹介が終わった。同じ歳ということで、コハクの緊張は解けた。


「ラルクもユニコーンだったよね。しかも黄色、私と一緒だなんて。」

「そうだよ。私もってことは、コハクもペガサスじゃなくてユニコーン使いなんだね。って、黄色?!偶然すぎだ。ユニコーンってだけでも珍しいのに虹色じゃなくて黄色だなんてね。」

うんうん、とコハクは頷く。かなり慣れてきたみたいだ。ユニコーンとペガサス。この世界では生まれた時にどちらの使い手に相応しいか定められる。色は6歳に決まる。それは生き方によって変わり、何色も存在する。その中でも黄色は極々稀に見るくらいで、みんな赤色や緑色、青色ばかりだ。虹色でも人々は珍しいぞ!!!!!と拝むのに黄色なんて神の存在に近いくらい珍しい。本当に、これは運命なんじゃないかとコハクは感じた。

「そういえばラルク、庭でなにしてたの?」

「あぁ、うん。僕、両親から離れて住もうかなって思って家になる材料を探してたんだ。」


「それなら、私の家に住む?」

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白と青は絶対的運命 姫桐 角 @Hemegiri_

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