後日談 童歌と異世界からの来訪者

朝が来た。夜は朝から逃げ出した。さあ終わらないかけっこを。


これはこの世界にある童歌。この歌は、彼女たちのよう。仲がいい訳でもなく、仲が悪い訳でもない。たまに近づいたり、離れたりを繰り返している。稀に重なって見える事もある。


だけれど、基本的に表に出るのは常に片方。でも今世は、太陽と月が重なっている状態。


けど、もうすぐこの状態は終わりを迎え、やっと、あるべき元の状態に戻る。二人は離れ、たまに近づくことはあっても、再び重なることは今世、来世ともに無いんだ。


人には、裏と表がある。彼女は、偶然が重なって裏と表が互いに独立してしまった。

本当は違うけど、あの現象はこんな解釈も出来るんだ。


今回の子は分裂を望むけど、分裂を望まない子ももちろんいる。

大体の子は表と裏の相性が悪いんだけど

『相性が悪くたって、絶対にひとりぼっちにはならない』

という考えの元、互いに依存し共存する子もいるんだ。


因みに、僕はそのパターンの人間だよ。長い間一人で過ごすのが嫌だったから、分裂はしなかったんだ。幸い、僕らの相性はそこまで悪くなくてね。今、僕の片割れさんは長い眠りについているんだけど、彼の存在があるから、僕はこの仕事を苦痛に思ってないのさ。


ああ、話が逸れたね。……え、僕は何者なんだって?ふふっ、何者だっていいじゃないか。今の僕はこの搭の管理者さ。たとえ、一時期『神様』として崇められても、僕らはカミサマなんかじゃない。管理者になる前も、僕らはただの人間だったんだよ。


ねえ、シオン。いつかまたここに遊びに来てくれるかい?


そっか、残念だよ。君とはいい友人になれそうだったのに。


それじゃあ、さようなら。お元気で。



____設定

二人が旅立った頃、搭の頂上では、管理者のおじいさん以外にも、1つの人影があった。彼女は異世界からの来訪者。名前は『シオン・レスタ』。彼女の世界では名前の後に称号や二つ名を付けて名乗るらしい。


彼女は、少し前からここのことを眺めていたようで。ノエルと勇、ソラのことを聞きに来たようだった。おじいさんは、かつて世界に伝わっていた童歌を唄い、この世界のこと話し始めた。

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高い搭 ヤト @touri_0925

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