井上心乃の後日談
「ねえ、モスキートさん。聞きたいことがあるんだ。」
初めて来た駅のホーム。今日は他校の吹奏楽部の発表を見に来た。耳元で、蚊の飛ぶ音がする。
「怪物、もう現れなくなったけれど…。あれを生み出したのは、私だったんじゃないかなって。時々考えるんだ。
いつまでも小学生でいられたらって、卒業式なんて無くなればいいのにって。そう思うと、ちょうど怪物が出てきたからさ。
あの時はママに言われるがまま受験しただけで、自分の力じゃ何もできない気がしてたんだ。いつまでも子どもだったら、それでも許される気がしたの。
でも、今なら分かる。私は理想ほど器用じゃないけれど、その気になれば何でもできるの。一歩を踏み出せばその後は早くて、きっと大人になったら、私は夢を叶えられる気がする。
そう思ってからは、怪物が現れなくなったから。」
「やっぱり、独り言。」
だって、これじゃぁ私が怪物の操り手みたいじゃない。私は人を助けられる人になるんだから。そんなわけない。
「行こうか。」
今日でクラリネットガールは引退だ。次に変身したときは、リコーダーガールを名乗ることになると思う。私とモスキートが、本物のクラリネットを知ってしまう日だからね。
魔法少年☆クラリネットガール 多ダ夕タ/ただゆうた @yuuno02x31
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