第11話

 カリンは恐る恐る目を開いた。

 その目に映ったのは、カリン自身だった。

 カリンは呆然と鏡の前に立っていた。

 ナイトホークのこともドラゴンのことも、夢のことのように思えた。しかし、その名残がカリンの額でささやいていた。

 オパール色の石はそのままカリンの額に輝いていた。けれど、石の真ん中でチラチラと揺れる赤い炎は消えていた。役目を果たして、もうあの不思議な力は発揮されないのだろう。

 その代わり、カリンはふつふつと胸のうちに沸いてくる力を感じた。

 頑張れる。

 カリンは鏡の中の自分を見て、思った。

 いろんな可能性が自分にはあるんだ。未熟なナイトホークでさえも、小さな可能性をつかみ取れたのだもの。

 そして、カリンは微笑んだ。

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ドラゴンロード 藍上央理 @aiueourioxo

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