まず何が楽しいかって、新菜がある病を患っているところです。はい、ゲームとラノベ好きの人間なら一度は罹患するあのチューニ病に……。
といっても自分の力を過大評価して無謀に魔物に突っ込んでいってピンチに晒されたり、巻き込まれた事件に対してやれやれと溜め息をつきながら解決したりするチューニ病ではありません。ただちょっと好きなゲームの必殺技詠唱や決めポーズをこっそり大胆に完コピして悦に入るくらいの可愛らしいものです(6話必見)。
そんな彼女が決めた身の振り方は、自分を助けてくれた竜の青年のメイド。
半ば強引に頼み込んだのが始まりでしたが、人間に対してトラウマがある珍しい竜のハクアと幻獣のトウカと暮らす内、ただ家事が出来るだけでは駄目だ、戦闘力を身につけないと! と自己研鑽に励む姿は読んでいてとても楽しいです。
最初から何でも出来る万能の力をほいほい使えるより、こういう努力のシーンが見たいんだという方にお薦めです。
基本はほのぼのコミカルな日常ですが、ある回を機に何やら暗雲が漂ってきたりと緩急がついた展開には目が離せません。二人の関係の進展にもです。
昨今のチート系とはちょっと違う、けれど読み応え抜群な異世界転生小説、是非ご一読ください!
異世界に迷い込んだ剣も魔法も使えない普通の女子高校生の話……とおもいきや。この主人公の新菜、ちょっとだけ変わっています。
具体的に言うと軽度のチューニ病です。決して常識外れというわけでなく、たまに垣間見ええる程度のチューニ病で、それが話の雰囲気を明るくしています。
話を読み進めて行けば分かるのですがこの新菜、元いた世界では決して恵まれていた生活環境ではありません。ですがそれを感じさせない明るさで、周りを引っ張って行く姿は見ていて微笑ましく思えます。
異世界に来ても幸せになるという事は無かったけれど、優しい竜や可愛らしい幻獣と共に過ごし、彼等との関係がどうなっていくのか、今後の展開が楽しみです。