第16話 side:A 悪夢の愛

男は、ホームレスを眠らせ裏口にある物置に隠し、最初の二人を殺したあと、自分についてきた一人の生徒とホームレスを殺し、自分の死体を作り上げた。

そのあとは盗聴器で彼らから身を隠しながら、教師と生徒の組の居場所を掴み後ろから先生を締め上げた後、逃げようとする生徒の首にロープを巻いて絞殺した。

天井に吊り上げて自分は彼らが来るの前に教室を出て、また身を隠した。

そのあと、恐怖した生徒を待ち伏せ水道の水を浸かって殺した、そのあと来た教師をバケツに溜めてある水で水死させ、また逃げた。彼らが二人を探している間に図書室に残っている教師の頭を殴り、生徒を撲殺ののち、教師を撲殺した。

トラップとして仕掛けた、毒は最初の二人を殺す前に仕掛けてあったらしい、毒を飲んだ二人の苦しむ姿を見た後、睡眠薬を飲んだ四人のいる教室へと足を向けた。

そこで一人だけ眠らずにいた彼の頭を殴った後、最後の被害者の首を絞めて殺したと語ったようだ。

代わりに犯人にされた彼は、翌日釈放された。


これが、一人の男によっておこされた、悪夢の全容だ。

私は、警察から聞いた時、吐き気がこみ上げた。

皆はどうだろうか?この男がしでかした事件は、実に嫌悪すべきものだと私は思う。


さて、後日談になるのだが、容疑者にされた眺野氏をとある病院に連れて行くときくが言ったので迎えに行った。

彼を連れて、とある病院の病室へと向かった。


がらりと横開きの扉を引くと、カーテンで仕切られた病室で一つだけ、途中で止まっているカーテンが揺れる、そこには酸素ボンベや点滴と言った。いろんな器具につながれた男がベットに横たわっていた。


「・・・・・」


「お久しぶりです、江西さん」


「・・・・・・え、にし・・・・」


「ああ、探偵さん・・・お久・・・・もしかして・・・・眺野・・・先輩?」


「ああ・・・きみは、もしかして、江西君・・・・?」


「はい、ああ、すみません、こんな見苦しい姿で・・・・」


男は成人男性のはずだが体は細くとても弱っていた。

どうやら眺野氏の後輩のようだった。


「探偵さん・・・どうして・・・・」


「ええ、それは・・・」


「あ!」


黒田が言いかけた時、私達の後ろから少女の声が聞こえた。


「ああ、真子、お客さんだ・・・・」


「よかった、君だね、オレに手紙を出したのは」


「え・・・・」


「探偵サン・・・・?」


「ああ、君の依頼の報告をしに来たんだ」


「じゃあ!分かったの真相が!!」


「ああ・・・もちろん」


「どう・・いうことですか・・・?」


二人だけで理解したような、会話をした。

私も眺野氏も江西氏も全く分からなかった、そう思っているときくが話し始めた。


どうやら、江西氏の娘さんが、お父さんのことを思い、お父さんの心残りであるあの事件の真相を調べてほしいと手紙を出したらしい、それが、今回の始まりだったようだ。


「そうだったのですか・・・・」


「それと、犯人の盗聴器を警察に調べてくれと密告したのも君だね」


「は、はい!」


「そうだったの!!」


「真子・・・・お前ってやつは・・・・」


「えへへ・・・ごめんなさい・・・・」


「いや、褒められるべきことだよ、君の勇気が結果的に眺野さんを助ける要因になったんだから」


余命わずかな父を思った少女の勇気ある行動が今回の事件を調べるきっかけになったのだ、ともひどい話しになったが、彼女も江西氏も真剣にきくの話を聞いた。


「そう・・・だったんですか・・・・」


「ひどい・・・・」


「結果としては、このようなことになりましたが、もう、大丈夫です、犯人も捕まりました。

もう、眺野氏が警察に問い詰められる事もありません」


「警察は、謝ったんですか!?」


「え・・・」


「いや・・・それは・・・」


「そんな、ひどいです!!間違って逮捕して、何年も捕まえてたんですよ!!ひどいじゃないですか!!」


少女の怒りはもっともだった。

だが警察が謝るだろうか、いくら惑わされたと言ってもやはり、眺野氏にした。

事は許されていい事ではないと思った、が、眺野氏は少女の頭を撫でてこういった。


「謝ってもらったよ、それに、もういいんだ、僕はこうして自由の身になれた。君のおかげだ、ありがとう、もう、いいんだよ、真相も分かった、僕の心残りも全部終わったんだ・・・・・ありがとう、真子ちゃん、江西君・・・・君たちにまた会えて、ホントに良かった」


それは嘘だった。

警察もあの日の事件の処理といろいろなことで忙しくなり、眺野さんに謝っていない

それでも彼は少女に謝ってもらったと言った。

気を使ったのだろう、それともホントにもう何とも思っていないのか、私達には分からなかった。

江西との関係は同じ委員会で一緒だったので、暇なときに勉強を教えてもらっていたらしい、懐かしそうに二人の会話を聞いていた、二人は昔話に花を咲かせ、僕らもそれを楽しげに聞いていた、夕方になり、面会時間が終了すると言われ、我々は病室を後にした。

眺野氏を送り届けようとして、アパートの近くまで来たとき、木島さんや里中さんたちがいた。


「どうした?」


「眺野さんにちょっと・・・・・」


「眺野さん・・・・今まで、申し訳ありませんでした!!!」


木島さん、里中さんをはじめとする、この事件にかかわった警察官全員が頭を下げてそう叫んだのだ


「我々の体たらくのせいで、貴方の名誉を損なわせてしまい、本当に申し訳ありません、すみませんでいた―――――――っ!!」


その発言に一瞬止まったものの、きくは動き、木島たちの前に出る


「おっせぇんだよ!!」


そう言って木島刑事の頭を叩いたのだ


「ちょ!!」


「いっ―――――――――てぇな!!、なにしんだよ!!公務執行妨害だぞ!!」


「はぁ?謝りに来るのがおせぇって言ってんだよ、このボケが!!もっと早く来いよ!!」


「仕方ないだろう、いろいろあったんだから・・・・」


「言い訳なんざぁ、聞く気はねぇよ!謝りに来たことは褒めてやるが、テメーらだけじゃあ足りないだろうが!上もつれてこいよ!!テレビで謝れや!!」


「そ、それは・・・・」


そんな無茶な事できるはずもないのにきくはやれと言う。

まったく困ったやつだ、だがまぁ、できないこともないのだ、なぜって私がいるのだから


「まぁ、すぐには無理でしょうが、上を引っ張り出す方法はあるよん?」


「おお、やれ・・・眺野さんに土下座するまでな・・・」


「探偵さん・・・別に・・・そこまで、求めてないですよ?」


眺野氏は遠慮がちにそう言った。


「それより、きちんと、花隅先生を裁いてください、僕の事は別にいいですから・・・」


「いや・・・そう言うわけには、行きません・・・・絶対上の人間もつれて、謝りに来ます!」


一人の刑事がそう言った。

彼らの目には決意が込められていた。

どうなるかは分からないが、彼らならきっとできるだろうと私は、信じている。


この小さな記事を読んでくれた読者のみなさん、まことにありがとうございます。

私が理解できない現象もいくつか起きていたようですが、探偵は語ってはくれませんでした。

しかし、おそらくこの事件にかかわったのは生きている私達だけではないことは、言えると思います。


私はこの記事をあの悪魔に殺された被害者たち、そして、探偵に手紙をくれた少女の父親に捧げます。

犯罪は忌むべきものです。

しかし、そのすべてが真実とは限らない、語る人々の言葉の裏を観なければしんじが見えないときもあるのでしょう。

人を信じると言うのは、とてもよい事でしょうが、時にその人を疑わなければならない、記者の私が言うのもなんですが記事で語られていることもまた、疑いを向けられるべき物と私は考えています。

本来は、記事を読んで皆様がこの記事に対してどう思うかを語ってほしいのです。


などと語っては見ますが、わたしも人をすぐに信じてしまいますので、説得力はまったくありませんが・・・。

さてさて、また、探偵のところへ行って、新しい事件がないか、聞きに行くとしましょう


以上、起草高等学校、惨殺事件の終幕といたしましょうでは・・・。


「おーい、きく!!何か新しい事件はあるかー!?」


「はぁー・・・?まだねぇよ・・・・」


お茶を入れながらお昼のティータイムをきくと満喫していると、カランと扉の鐘が鳴った。


「ようこそ、しがない探偵事務所へ、ご用件を伺いましょう」


そう、両目の違う男が笑うのだった。




                                          END

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