第5話:幸福な男

 俺はようやく目が覚めた。ここは白い病室。俺の周りには複数の人間がいた。その中には俺の家族が立っていた。

 そして思い出した。俺はドライブの下見中、誤ってハンドルを切り、車をガードレールにぶつけた挙句、自分の黒い車を炎上させるという大事故を起こしてしまった俺は、今の今まで意識不明だったようだ。

 妻は俺が目覚めるのを見ると、涙を浮かべて抱き付き、一言「おかえり」と囁いた。

 俺は「ただいま」と照れ臭そうに言い返した。

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儚想 @Kasiwazaki

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