第9話 俺は考えてみる、今後の事を。

あれから三十分から一時間はあのままだった。

怖い、という感情が湧いて出たのは初めてだった。

ようやく動悸が収まり、落ち着いた所で、俺はカーテンを動かし外を見る。

しかし—————




—————彼奴は、居なかった。

少なくとも、庭の中にはいなかった。

ドッと仮初の安心が溢れてくる。

しかし、本当の安心なぞ、どこにもない。

こうしてまた彼奴が現れたのがその証拠だった。




それから、俺の生活は日常という安心できるものではなかった。

日常が非常に恋しい、とても。

何が変わったのかというと、例えばあの日から登校するときに

カラスにジロジロ見られてる気がするとか、(多分彼奴らの身内かなんかだろ)

庭には彼奴が常駐してる所とか。(怖くて窓から外が見られないけど、多分そう)

碌なことが一つもない!(是から先も無いんだよなぁ、慈悲なんてなかった。)




そんな生活で一月二月三月程が経った。

だんだん感覚麻痺してきたのか、カーテンも普通に開けっぱなしになったし、

カラスの視線も気にならない。

あと変わったといえば、妖怪系の本を借りるようになったくらいか。

短くてあと三ヶ月、長くても九ヶ月だと思っているが(この状況が)、

もしかしたらずっと来られるかもしれない。

そう思ったら、対抗策ぐらい練ろうと思った。(この年齢にしては妙に頭が回ってたと思うぞ)




さて、この本は弱点かなにか載ってないかな。

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夕焼け色のお守りを Rain☂ @sakomi012

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