第2話 あいつ

 友達と呼べるような人も、恋人もいない。

 だから僕が孤独かと言うと、ある意味ではそうであるし、ある意味ではそうでないとも言える。

 基本的に、付き合いはいい方だと自分では思う程度に付き合っているし、明るい便利屋のイメージを演じているから、周りに人がいない訳では無い、でも、友達と呼びたい人がいないのは事実でもある。

このクラスになって、気になる人はできた。それが、隣の席の奴だ、ふわっとした空気を纏って、いつもにこにこしてて、手を振ってくれるような。

ただ、僕にとって、とても困ることがあった。 そいつは、男、なのだ。そして当然、僕も男である。

だから、あいつにこの気持ちを知られるようなことがあっては絶対にならないし、ましてや、周りや親に知られるなんて、もってのほかだ。

だから、僕もいつもニコニコして手を振るだけ。なのである。

自分の中の所謂[そういう]方向に気づいたのは、中学2年生の春、だった。

体育で着替えてた同級生を見て、ドキドキした、目が離せなかった、あの時は。

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僕、 端広 光 @gjagjagjagja

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