第8話

 水曜日



久しぶりの長い残業を終えて部屋に帰ると、この時間はいるはずの美里の姿が見当たらなかった。


――あいつ、どこに行ったんだ?


コンビニにでも行ったのだろうと思い、ソファーに座った。


すると机の上に一枚の紙が置いてあることに気づいた。


そこには美里の字でこう書かれていた。


――実家の母が倒れて入院しました。看病のため、地元に帰ります。今の病状からして、当分の間は帰って来れそうにありません。ごめんなさい。また連絡します。


読み終えてすぐに気づいた。


美里は実家に帰ったから、今はもうここの住人ではない。


だとしたら今このマンションに住んでいるのは、十五人ということになる。


その時、玄関のベルが鳴った。



               終

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あいつが来る ツヨシ @kunkunkonkon

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