非常に完成度の高い短編です。
過去の弓道の県大会で驚くべき好成績を残しながら、全国大会では一本も的に当てられなかったというトラウマから、弓道から遠ざかってしまった主人公が、退部を決意するところから物語がスタートします。
非常によく練られたと感じられる構成で、前半に仕掛けられたいくつかのミスリードが、結末に向けて収束していくところは、読んでいて「やられた!」と脱帽しました。
15センチのテーマの使い方も独特で、弓道の的のサイズを素直に使ってこないあたり、作者様の創作力の高さを伺わせます。
何より、肩肘張らない素直な青春小説らしさがとても好感が持てました。
是非ご一読を。