知らぬ罪への償いを

@Boss0708

第1話 なんにも知らないんだね

帝都カイザスパイア。

建国1000年以上の歴史、そして他の追随を許さぬ赤鉄の騎士団をもつ。更に領土の保有面積世界1位。

誰も攻めようとしない、いやどの国も帝都の前では烏合の衆に過ぎなかった。


『ぼ、ぼっちゃま~!また悪戯ですかっ!!じぃは許しませんぞっ!!!』

口やかましいこの老人、第1王子側近ローザスはいつものように猛り狂っていた。恐らく本人からしたら本気で怒っているのであろうが、毎日のように王子と同じやりとりを繰り返していれば周りから、最早これぞ日常であると思われるのは致し方ない事だ。

『ははっ、じぃよ。まぁそんな慌てるでないっ♪』

そういって王子カイは握った手を差し出した。周囲のメイドたちは察しがついた様であったが、あえて口に出さず今後のやりとりを楽しそうに注視していた。

『いやはや悪かった!私の償いの思いだ、うけとれ』

と言って本当に償いの品を出すはずもないのだが、じぃはつゆ知らず無邪気な子供のような素直さでうけとり、すぐさま受け取った虫の存在を確認し猛り狂い出した。ここしか無いといわんばかりに『すまぬなじぃ!はっはっはっは』と豪快に笑い三回の屋敷窓から華麗にジャンプ。植えてある大樹を器用に掴み見事着地を決めて見せた、運動できる系男子目指してるんでと暇つぶしを理由にあらゆるスポーツをかじっているからこそできる芸当だ。

そして着地と同時に考える、今日はどこに遊びに行こうかと。この前は伯爵地区に行ったしな、ならば逆にスラムという場所にでも行ってやろうかなと。何も考えずに歩みを進める。


〜スラム街〜


『ここか、きったねぇなとこだなぁ。まぁ一興だな』などと考えてふと目をやったそこに何かがあった。ただ汚いものなら良かったのだ、それがまさか腐敗した男の無残な死体だったのがダメだった。王宮暮らし19年、帝位継承一年前にして初めての経験。

慌てきったカイが行った行動は常人のそれであった、周りの人物に、手短な話が通じそうな相手に助けを求めてしまったのである。

『お、ぉい!!?し、死んでいるぞ!?ひとぁ..ひとが!!』

話しかけられた、カイと同年代であろう女は突然の事で驚きはしたが事態をすぐさま理解した。

『おい!看護兵をよんでこい!いや、死んでおるから兵士でもなんでも、、よんでこい!』

そうして、女はゆっくりと呆れた口調で答える。気だるそうに、呆れたように。『あんた何も知らないんだね』と





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