僕は銃を見た。銃は僕を見た。

Allen

僕のまくら下に死神が立っていた。いや、死神かはわからない何かが立っていた。

「君、今日死んじゃうみたいだよ」

僕の予想は的中していたようだ。どうやら本当に死神のようだ。しかし、いくら予想していたとは言え唐突に死ぬと言われた僕は、何も言葉を発することが出来なかった。いきなり、死ぬなんて言葉をしかも寝起きの頭が理解出来るわけがない。

「じゃあね」

そう言って、死神は僕の目の前から消えた。最悪の朝だった。ただ、死神とは思えないくらい綺麗な女性を拝むことが出来て僕は少し幸せな気分になった。日本では見ることが出来ないような綺麗な金髪、透き通るような白い肌、目鼻立ちが整った顔、全てが僕の好みだった。そんなことを思いつつ僕は学校に向かった。さっきの死神の言葉は完全に僕の頭から抜けていた。







学校生活は普段と変わらず、何の代わり映えもなく過ぎていった。怖いくらいに何もなかった。あれは本当は死神じゃなかったのかもという考えが頭をよぎった。

「なんだ、何も起きないじゃないか」

僕は、そう言い電車を待っていた。何を思ったのかふと向かいのホームを見た。すると、そこには笑顔で銃を持った女性が僕に照準を合わせているのが見えた。僕はやはり何を思ったのかその銃口を見つめてしまった。それを凝視している僕の目に吸い込まれるように銃口から銃弾が発射された。その、直後僕の意識は途切れた。本当に簡単に途切れてしまった。「ああ、これでも死ぬのか」とも思えなかった。意識が途切れる直前僕は僕を撃った綺麗な女性が先ほどの笑顔とは打って変って冷たい目で見ていたことに気が付いた。彼女は一体誰なのだろう。


彼女の口の動きが「だから言ったのよ」と言っている風に見えた。

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