16 歌声
四道将軍が各地の平定に赴き、無事に帰還したのは翌年の初夏のことだった。
御間城入彦大王は国内を穏やかにすると、夢占いによって活目入彦を次の大王に、そして豊城入彦を東国の統治者に選んだ。
大王となった活目入彦は新たな王宮を造り、狭穂姫を王妃として一層の愛情を注いだ。
ところが、王妃の兄である狭穂彦が謀反を企み、妹に暗殺を唆した。この時、狭穂彦は「お前は兄と夫と、どちらが愛おしいと思う?」と問い、狭穂姫は兄と答えたという。
ついに謀反は発覚した。王妃を愛する大王はその罪を問わなかったが、狭穂姫は狭穂彦の城に籠もり、兄妹は共に燃え盛る炎の中に消えた。
王妃の死後、活目入彦は武渟川別や彦国葺らを大夫として重用し、農業を盛んにして国を栄えさせることに専念した。
これが大和の国の黎明を切り開いた二人の大王の治世である。
「御間城入彦、御間城入彦よ、あんたは知らぬ。身の危うしを。なのにあんたは女遊び」
王宮を見下ろす丘から不思議な歌声が風に乗ってくることを、知っている者がいるだろうか。
<完>
黎明の歌声 ~武装王女と隼人の姫~ 木葉 @konoha716
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます