Lift-off and nothing unusual

高崎中学第35期卒業生3-A


出席番号1 赤星 シュン

出席番号2 井浦 ユウタロウ

出席番号3 江頭 ミサキ

出席番号4 尾崎 アスナ

出席番号5 小川ユウカ

出席番号6 海崎 コウスケ

出席番号7 桐谷 ミレイ

出席番号8 黒山 ゴウ

出席番号9 斎藤 レオ

出席番号10 篠原 キョウコ

出席番号11 瀬尾 アキラ

出席番号12 田中 ユキ

出席番号13 高崎 リョウ

出席番号14 津田 マサキ

出席番号15 土方 ヒデカズ

出席番号16 天道 サキ

出席番号17 戸部 ショウタ

出席番号18 濱中 カナト

出席番号19 松本 チヒロ

出席番号20 柳井 ケン

出席番号21 桶井 ケンスケ



第2話 異変

「ふぅ…やっと着いたか。」

「いくらなんでも、クラス会の場所遠すぎだろ!!なぁリョウ。」

ヒデが不満そうに言う。

それもそうなのだ。高崎中学は言わばド田舎といわれるところにあり、そしてここは都会といわれるようなところである。

「最後くらいしょーがないよー!

だいたいお前らで決めといてくれっていったのはリョウたちでしょー?」

「う…」

「そーいやぁそーだったな」

「なら仕方ないっ!久しぶりの海神楽しむしかねーな!リョウ!」

ヒデの言う海神とは岡福県の主要都市であって全国でも指折りの都会である。「ユウカのことだ。ちゃんと焼肉食べ放題予約してるんだろうな?」

ヒデが真剣な眼差しで聞いている。

「そんなのしてませーんよーだ!」

ユウカがふんわり笑って答える

俺はこの笑顔が好きだ。

「あ!ここだよー!!」

とユウカが指差した先はこじんまりとした綺麗なレストランだった。少なくとも焼肉食べ放題ではないだろう。

「はぁ…」ヒデががっくり肩をおとす。俺はヒデの肩をたたき

「俺らはべつに今度焼肉食べ放題いけばいいだろ?」

と、フォローするとヒデの表情はパッと明るくなって

「ほんとか?約束だぞ?」

ってほんと単純なやつ。

「ユウカもいっしょだぞ!」

「ええー。わたしはいいよぉー」

これまた苦笑いだったので俺は噴き出してしまった。

「もぉ。ほらこんなやり取りしてるから5分も遅刻しちゃったじゃない!

もう皆んな集まってるよー!」

そういえば時刻は7時半をまわっている。

「よしっ。いくかリョウ!」

「おうっ」

「もーまってよぉ」

勢い良くレストランのドアを開けるとカラーンという綺麗な金の音とともに

「やっときたかぁ!」

「はぁ…あなた達の遅刻癖は最後まで治りませんでしたね」

「はーい遅刻ぅー!」

「こっちこっち!」

クラスメイトの罵声とも聞こえる歓迎の声が迎えてくれた。

どうやったのかは知らないが今日このレストランは貸切のようだ。

「わりーわりー」

頭をかきながらヒデは入っていく。

「ごめん!遅くなった」

一応平謝りしとくか…

「ほんとっごめんねっ」ユウカは一人一人に謝ってまわってる。

「どーせそこの2人がユウカを連れ回してたんでしょ?」

江頭ミサキが言う。

ミサキ。責任感がつよくて気も強いおかげでクラスの男子まで頭が上がらないって感じかな。

「ちげーよ」

確かに途中久しぶりの海神に興奮して寄り道をしたのは確かだが。

「私のユウカになんかしてたらタダじゃおかないからね!」

尾崎アスナが言う。

こいつはユウカの親友で俺とヒデみたいな関係かな。優しくてちょっと美人。密かにクラスの男子に人気があった。

「おいおいリョウ、ヒデ、酷いじゃねーかよぉ」

桶井 ケンスケ。

3年の時、同じクラスになったことがきっかけで仲良くなった。基本は俺ヒデ、そしてケンスケとつるんでいた。

頭は悪いが、悪知恵は働く奴でピンチになるといっつも名案をだしてくれた。

「あ!お前のことなんかすっかり忘れてたぜ!」

ニヤニヤしながらヒデが言う。

「あれ?お前誰だったっけ?」

ヒデに便乗する。

「お前らあんま調子乗るとあの秘密ばらしちゃうぞ!」

「そりゃ勘弁してくだせぇ」

「ケンスケさまぁ〜」

「まぁよかろう」

ケンスケの両隣に俺とヒデは座る

「はーいっ!皆んな揃ったところでっ!高崎中学3-A卒業おめでとうパーティをはじめまーす!」

「卒業!おめでとう!」

パァンパァンパン

鳴り響くクラッカーの音

久しぶりに聴くとうるさいな。

その後はいろんな料理がでてきた。

ピザに唐揚げにフライドポテト!

特にクリームドリアが美味しくて!

以外と量があったし結構すぐに腹一杯になっちゃった。

しばらくすると半ば強制的にケンスケが王様ゲームを開いた。

最初はみんな手を繋ぐとかだったりしたんだけど、最後はハグとかホッペにキスとかなっちゃったりして!

白熱した王様ゲームもひと段落つき、

しばらくすると、

「それで?ウチらの今回の卒業旅行はどこにするのよ?」

ミサキがついに本題を持ち出した。

高崎中学では卒業した後にクラス全員で旅行にいくことが恒例行事になっているのだ。

「ハワイ!!」ヒデが目をキラキラさせながら言い出した。

「却下。」おお。冷静だな。

一撃でヒデを沈めたミサキはこう言った。

「あのさーウチから提案があるんだけどさ、」

「なになにー?」

「サキん家あるじゃん?そのサキん家に前クラスの女子何人かでお寺の片付け?みたいなやつに言ったのよ。

そしたらね。見つけちゃったの。」

そう言うとミサキは少し古ぼけた紙を広げだした。

文字は書き殴られておりなんて書いてあるのか検討もつかない。

「これ。読めないでしょ?でもね。

私たち独自で調べて解読したの。」

マジかよ…この暗号みたいなやつを?

「で!で!なんてかいてあるのー?」

そこには目をキラキラさせたヒデがいた。どうやら復活したらしい。

「うん。大まかに説明すると、

この村にさキャンプ場ってあるじゃん?そのキャンプ場の奥に進むと昔からなんだろっておもってたんだけど2匹のダンゴムシみたいな銅像があるでしょ。で、その2匹ダンゴムシが指し示してる先に海鳴トンネルっていうとこがあるらしいの。そのトンネルの先には海鳴村っていうところがあって。

そこには昔の海神さまが住んでいた場所で海神さまのお墓があるらしいのよ。」

「ほうほう。」

皆んな生まれてからずっと住んできた高崎村にそんな秘密が隠されていたのかって真剣に聞いている

「その墓にはね。海神さまを見送るために沢山の金銀財宝が納められたの。」

「でもね。お墓が作られて少し過ぎた頃、海鳴村に大地震がおこったの

その時にお墓の中にいた海神さまは最後の力を振り絞って村の皆んなを助けたらしいのよ。でも力を限界を超えて使ってしまった海神さまは四肢をもがれその四肢はいろんなものに形を変えて飛び散ったの。右目はマリンスノーのように青く輝き、嘘を見抜く宝石。

左目は相手に幻術をみせる漆黒の宝石右腕は触れるもの全てを貫く槍、左腕は当たるもの全てを跳ね返す鉄壁の盾、右足は全ての真実を映し出す鏡

左足は全てを欺く透明マントとなったの。で、そのお宝はまだ海鳴村に残されてるらしいの。」ハァハァ

言い終わったミサキは肩で息をしている。

「で?」クラスのみんなが口を揃えて言う。

「第35期高崎中学卒業旅行は

海神さまのお宝トレジャーに決定よっ!」

「ええーっ!」といいながらも

みんな納得の表情である。

まったくこのクラスのチャレンジ精神は半端じゃない。

ことはかくもなく

クラスの卒業旅行は海鳴村に決定だった。

これがのちに悲劇の始まりとなるということは俺を含めてここにいる皆んなはしらないはずだった…

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