もしも願いが一つだけ叶うのなら

鷹崎ナル

When a cherry tree scatters.

誰かが耳元で囁く。

ああ、優しい声だ…


「やっぱり君が生き残ったのか。

それじゃあ約束通りに。

君のお願いごとはなに?」


もしも、もしも一つだけ神様が願いを叶えてくれるなら?

億万長者になる?イケメンになる?

いっそ世界征服しちゃう?

全部違う。

俺は…俺は謝りたい。

ちゃんと面と向かって謝りたい。

そしてあいつらとまた笑い会いたい。


第1話 卒業式

これにて第35回鷹崎中学校卒業式を終了いたします。

「やっと終わった、か。」

俺、高崎リョウは鷹崎中学3-Aに通う中学生だ。好きな食べ物はというか飲み物はコーヒー牛乳。性格は自分で言うのもなんだけど結構喧嘩っ早い。

クラスでは中心だったような気がするけど実際どうだったんだろ?

「そうだね〜終わっちゃったかぁ」

こいつは幼馴染の小川 ユウカ

勘が鋭くて嘘なんてつこうものならすぐバレる。

持ち前の明るさと誰にでも優しく振る舞う性格もありクラスでも人気があった。

「男なのに別れくらいでクヨクヨしてんじゃねーよ。俺が気合いれてやろうか?」

こいつは土方 トシヒデ

こいつは売られた喧嘩は買うってタイプってやつで中1のときは何度も喧嘩した。でもそのおかげで心から通じ合える唯一無二の親友になった。

度胸も気前もよく漢の中の漢って感じ

「いらねーよ、そんなもん。」

こんなやり取りもあまり出来なくなるのか。内心泣きたいのを堪えて言う

「あ!そういうことか!俺と別れるのが悲しいのかぁー!そうだろ?リョウ」

そうニヤニヤ言ってくるヒデに当たり前だろ!と言いかけたが、

「そんなわけあるか!逆にせいせいするわ!」と言う

「あーリョウまた嘘ついてるー!」

笑顔でユウカが言う。図星である。

どうやら俺にはユウカの前では嘘をつけないらしい。

「よし!」ヒデが唐突に言い出す。

「今日は今から親父の酒でもかっぱらってオールナイトで騒ごうぜ!!」

「おお!いいなそれ!」

「だーめっ!」ユウカが言う

「「なんでだよっ!!」」

「だってこれから最後のクラス会でしょ?」

「あ。そーだったな」

「ヒデお前忘れてたのかよ。

まあ俺は覚えてたけどっ!」

「また嘘ついてるー。」今度は苦笑いだ。

夕日でオレンジ色に染まった校庭の隅に咲く桜は今の時期には珍しく桜吹雪が舞っていた。





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