第6話
「誰だったかなぁ...ネタ作りのために一緒に出かけたいとかいったのは...」
隣の担当君が呟いた。顔からサァーと血の気が引いていくのがわかる。
言った。確かに言った。ネタ?このままでは大食い男の話になってしまう。
というかなんだ、あの食べっぷり。店員さんは間違いなく引いていた。
今も脳内にこだましている。「この前の六人家族超えたでしょ...」先ほどの店員はぼそりと呟いていた。
私の財布は、大変軽くなっていた。
―――――――――――――
やっと彼らは帰ったようだった。
担当君はたくさんの料理をぺろりとたいらげた。
ときどき皿を下げにいっていたが、テーブルの隅には皿が積みあがっている。
バイトちゃん(A)がお盆を持ってテーブルを片付けにいく。
キッチンでは食洗機が悲鳴を上げていた。
ホール係は一息ついていた。
「休憩いってきまーすぅ」
制服のすそを翻して、バイトちゃん(B)は休憩室に向かった。
昼のピークも、今日は断然忙しかった。
―――――――――――――
ふぅ。
他人の金で食べるご飯ほどうまいものはないと今なら断言できる。
冷え切ったであろう懐を抱える先生に
「まずはどこに行きましょうか。」
と聞いた。
先生は行きたいところをたくさんピックアップしていたのだが、中には新幹線や飛行機に乗らないと行けないようなところが西から東までたくさんある。
「まずは東のほうにあるものからかな」
先生はそう言って地下鉄の駅に向かった。
引き出し 櫻庭 春彦 @dawbrock
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