第2話・暇なんて無くなればいいのに
暇――――それは人類に限らず、生命全てを蝕む精神の病だ…………。
などと言うが、俺が単に暇嫌いなだけだ。
(もちろん暇が好きな人だっているはず)
まぁ、暇嫌いな俺はそれを病だからと言って、暇潰しを正当化するんだけどね。
「……そろそろ別のものも創ろう」
コアちゃんの分裂石はあと半月経たないと完成しないので、しばらく宙ぶらりん生活だ。
そんな所にいたら、俺は精神をいわしてしまうだろう。
創造者たる俺がいなければ、この異世界は『まだ』駄目だ。
「……ああ、俺はまたアオミドロの様に漂うのだった……」
マニュアルを読みながらナレーションをぶちこんでみる。めっちゃ寂しい。
と、パラパラページをめくる手がある地点で止まった。
「……空の裂け目……海……ベヒモス?」
と、そこまで読んだ所でコアちゃんにマニュアルを取り上げられた。
「駄目ですよぉマスタァ……?」
何かやけに怖い顔をするものだから、気が引けて首を縦にブンブンと振りまくった。
多分顔色は青ざめていただろう。
「解ればいいんです☆」
でもなぁ。暇潰し出来る何かが無いとなると、俺がどうにかなってしまいそうだ。
……どうせなら壮大な物にしよう。
それこそ北欧の……ユグドラシルとか?
「……ハゥッ!?」
頭に一気に血液が通い始めた感覚。
冴え渡る神話好きのヲタク脳みそ。
おお、何で俺は忘れていたんだ、あの傑作の悲劇を!!
「……コアちゃん。分裂石って複数同時に創れるものなのか?」
「大丈夫だよぉ☆」
「君の実力を見込んで頼む。10個同時に分裂石を創ってくれ」
「はわわ……☆マスタァの頼みならやる☆」
やっぱり語尾が変だが、現時点だと彼女しか頼れる存在がいない。
「いざ【混ぜ物】の神話へ……!」
だなんて格好つけてみたり。
創造者の俺は血の通い始めた頭脳を引っ提げ、再び開闢を創る。
異世界開拓が、動き出した。
(第3話へ続く)
やおよろず!―異世界で神話を創ってみた― アーモンド @armond-tree
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