最終話 日常へ

最終戦より一か月後、怪我もようやく完治し、田舎街から二駅乗って、都会街

賑わいを見せる大通りを通り過ぎ、静かな住宅地を少し外れたところにあの家がある。


「あそこがあんたの実家?」


「ああ」


「へー!挨拶終わったら、いろいろ見に行こうよ!!」


「ああ・・・じゃなくて!!ついてきたんだよ!!」


貴彦の両側には小鳥と華純、二人ともそれぞれ私服だ、小鳥は薄い黄色のシャツに白い長めのスカート、華純は薄いピンクの丈が短い服に、短パンを着ている、普段の服よりだいぶ女の子っぽいが持っている書類やカバンの中はそうでもないのだ。

さすがに音信不通しすぎだったので、一度あと帰りをすることにそれに押して華純が名乗り出たのだ、なぜ小鳥もいるのかは不明である。


「あー・・・・行きたくねー・・・」


「ほら、お父さんたちにお話しするんでしょ」


「まぁ・・そうなんだけど・・・いろいろと腹を割って話さないといけないけど・・・けどさぁー!!」


あともう少しというところで貴彦はごね始める、会いに来たはいいがちゃんと話せるのか、どう話そうかなど考えていた、だが、一行に応えは出ないままだった。


「そこに居るのは・・・貴彦かい?」


「え・・・・ばあちゃん・・・!!」


懐かしい老婆の声が聞こえた、顔を上げると、白髪交じりの白い割烹着がよく似合う、優しい笑顔をする、彼女がいた。


「やっぱり、貴彦クンだ、久しぶりだねぇ~、おや、彼女さんかい?」


「ちがっ!!・・・・新しい職場の人・・・」


彼女ではないと否定しようとしたが何やら寒気がしたので、濁して話した。

祖母は変わらず、ニコニコと笑っていた。


「そうかい、そうかい、孫がお世話になってます」


「ば、ばあちゃん、その・・・いろいろと話があるんだ・・・」


「そう、なら、上がってもらいなさい立ち話するものじゃあないんだろう」


「ああ・・・・うん・・・まぁ・・・・」


言えにはいるように諭されるが、どうも乗り気がしない様子だった。


「貴彦か・・」


「‐――っ!!じい・・・・ちゃん・・・・」


なるべく聞きたくない声が聞こえた、庭から現れたのは祖父だった。

いつもの麻布の着物で腕を組み、ため息を吐いた。


「はぁー、そんなところにいないで上がりなさい、お客人に失礼だろう」


「・・・はい」


「崖元さんとは違った感じの怖そうなおじいさんね」


「うん」


あっさり頷き部屋りは居る、客間でお茶とお菓子を食べながら、この一か月のことを話した。


「と、まぁ、怪我も完治し、筋肉痛のも治り、こうして帰ってきた次第です」


「ほう」


「まぁ、ずごいのねぇー」


「・・・・・・」


祖母はのんびりとした口調で言うが祖父は黙ったままだった。


「で、ここに来て、何をしに来たのだ?」


「う・・・・はい・・・じいちゃんたちに・・・母の事を知ってほしくて・・・それから、おれ、あの人の研究を引き継ぎたいと思っているんだ・・」


「・・・・」


「俺・・・・えっと・・・・」


「それが、おまえのやりたいことか?」


「え」


てっきり、怒られるかと思っていたのに祖父はため息を吐いて、俺の頭を撫でた


「うえ!!な、なに!!」


「よい、好きにしなさい、おまえの人生だ、おまえのやりたいことをしなさい」


「・・・で、でも・・・父さん・・・」


「あいつには私から、言い聞かせておく、その代り、挫折するんじゃあないぞ、そんなことをしてみろ、今度こそ、根性を叩き直してやる!」


「・・・・は、はい!!ありがとうございます!!」


「今日はみんな、止まっていきなさいな、ごちそうするよ」


「ありがとうございます!!」


「はい、お言葉に甘えて!!」


「ちょ・・・!!おまえらな!!」


そうして、じいちゃんたちが知らなかった、母の話や、あの戦いの事を話した。

じいちゃんは俺が乗っていたことに気付いていたらしい、剣の持ち方が甘いだの、切れがないだの散々言われた。

夕食を終え、祖父に道場に呼ばれた。


「じいちゃん・・・?」


「おお、きたか、ほれ、こっちだ」


道場の扉を開いて、縁側に座る祖父に呼ばれ、その少し後ろに座る、縁側には酒の入ったコップがあった。


「貴彦・・・」


「はい!!」


「私は、おまえに恨まれてもよいと思っていた、だが、おまえがこの家から出て行って、知った、さっきのお前の先ほどの笑顔などを見て、新鮮な気がした・・・ダメな祖父で悪かったな、どこかで私はおまえを、昔の私と重ねていたのかもしれない、」


「え・・・」


「私も昔は、弱かった、弱い自分はだめだとずっと思っておったのだろうな、それをお前に押し付けてしまって、悪かったな」


「じいちゃん、ううん・・・俺が弱かったのは確かだし、逃げてごめん、もっと強くなるよ、オレ、いつか、じいちゃんに認めれるくらい」


「はっはっは・・・一生ないだろうな」


「なっ!!」


「楽しみにしておるぞ、」


そう言った祖父の顔は初めて見た、笑顔でした。

翌日、二人の買い物につき合わされ、ウルクに帰ってきた。


「おかえりーーーーー!!」


みんながそう言って出迎えってくれた、それは、俺が守った世界そのものだった。

 




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異端破壊兵器レイヴン 葛白 ナヤ @Dullahan

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