私を置いて行かないで

@lovekionn

終わりが始まる。

私が廊下を歩けば、そこにいた人は皆道を開ける。

珍しいモノでも見るかのように、こちらに視線を向けているのに、私がそちらを見れば悪魔に見られたような顔をして急に目を逸らす。

本当に面倒くさい。

あと数メートル。あと数メートル。そう思いながら歩いているけれども、教室になかなかたどり着かない。

もしかしたら、もう一生たどり着かないのではないかと思うほど、教室までの道のりは果てしなく遠い。


「ミサ」と私を呼んでくれる人はもういない。「美郷」と笑いかけてくれる人ももういない。

その中でも私はこの中で生きていかなければならない。

自分が選んだの道を後悔せず、胸を張って生きていかなければいけないのに。どうしてもそんなことができるだなんて思えない。


それでも始まるこの日常に、私は小さく深呼吸をした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私を置いて行かないで @lovekionn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る