僕の彼女は……
まよなかちわわ
第1話
「ハクスラって知ってるかな?」
僕は、ヘラを振って彼女に聞いた。
「ハクション大魔王がスライディング?」
「ブー、不正解!ハック&スラッシュの略でRPG用語だよ」
「RPG?私、ゲームやらないもん。わかるわけないじゃない!それに今日のデートに遅れたの、ホントに心配したんだからね」
彼女は、顔をややピンク色にし、頬を膨らませて言う。
「まあまあ!それは、さっきも謝ったじゃないか。なにもしてないのにスマホの画面が割れたんだし。(ため息をつく音)たまには、僕の話を聞いてくれよ」
そこへお好み焼きの具が入ったボールが運ばれてきた。
「お好み焼きを焼きながらなら、聞いてあげるわ」
「オーケー、焼きながらハクスラを説明するね」
僕は、立ち上がって、お好み焼きの具をアツアツの鉄板に丸く流し込む。
「ハックはね、切り刻むという意味で、スラッシュは叩き斬るという意味。キミは違いがわかるかい?」
「わからないわ。それより、早くひっくり返さないと!」
「待て待て、ここは、お好み焼きをちょっと叩いてから、ひっくり返すんだよ」
お好み焼きをヘラでちょっと押した僕は、ちょっと一呼吸おいてから、ひっくり返した。こんがりとキツネ色に焼けている。
僕は、オレンジジュースに手を伸ばして一口飲んだ。
「あー、早く切って、お皿にのせないと!」
「ここで、スラッシュで叩き斬ってから
お皿にのせるんだよ。ハックじゃないよ」
ヘラをお好み焼きに叩きつけて切ってから、僕は、お皿にのせる。そして、彼女の前にお好み焼きののったお皿を置いた。
「さあ、冷めないうちにどうぞ。僕の分は、後から焼くから」
「いただきまーす」
彼女は、アツアツのお好み焼きをハフハフしながら、口に運んで食べ始める。僕は、椅子に腰を下ろし、頬杖をついてその彼女の様子をワクワクしながら見つめた。
(たとえ、一夜限りの夢だとしても、この彼女の姿が見れるなら)
僕の彼女は、最高だ!
僕の彼女は…… まよなかちわわ @karaage22
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