残された良心

 カメラ雑誌で●●●カメラというものがある。

とても有名で、独自のコンテストをやっていたりする。

なすはあんまりこの雑誌が好きではなくて、

載っている写真もよくわからないものが多い。


正直、カメラのしくみの本を読むほうが好きだった。


 デジタル一眼レフに移行した時、そういや、写真家さんの

写真集なんて買ったことないなあと思いながら、

書店で、一冊の写真集を買った。

有名な猫写真家の写真集だった。


業界で●●ゴーさんといえば、猫、

猫といえば●●ゴーさんという方程式まである。


かわいくてついつい、読んでしまった。

自伝のようなものも買ったし、テレビ番組も見た。


自分が猫を飼っていたせいでもあるのだが、

猫は大好きで、猫たらしとかいう言葉も●●ゴーさんが作った言葉だそうだ。

さすが巨匠である。


それで、驚いたのは、その●●●カメラという雑誌には

12月号か11月号に絶対●●ゴーさんのカレンダーがついてくるのだ。

理由が分からなかった。


●●●カメラの評は厳しいし、かつて大物写真家を続々と世に送り出しただけの

事はある。

ただただ、もはや哲学かと思えるくらい、難解であったり、

初心者向けに書いてみたり、アタリの号とハズレの号が多くて、

定期購読しようにも、困るシロモノだった。


さて、自分が勤めると、どの会社にもその雑誌はあったのだが、

一人の社長に訪ねた。


なんで●●●カメラには猫のカレンダーなんてついてくるんですかね?


答えは明確。


だって、毎号全く違うだろ?60〜70年代は過激な写真のっけたもんだけど、

やれヘアヌードだ、やれスナップの著作権だって、無難なものにシフトしたわけ。

そしたらマァ、つまらなくなるだろ、雑誌的に、んで多分あいつらこう考えたんだ、

定期購読すれば、11月に来るか、12月にくるかがわからないこのカレンダーが

確実にもらえると決まるわけだ。定期購読で高い猫カレンダー買ってるみたいだよナ


なるほど、これが

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なすとカメラ。 なす @teran7719

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