第2話ブースター
「それじゃあ、はじめるか」
室内に入る四機の戦闘装甲は一斉に身構えた。
最初は誰が来るのか、そう思っていたが相手3人も様子をみているらしい、ならば先手必勝だ。
少しかがむような姿勢をとり、前に飛び出した。
脚部装甲のブースターを使用したため、ドォオという爆発音、風切り音、そして地面が少し砕けた音を耳で捉えながら一瞬のうちに敵三体のうち紺色の戦闘装甲と目があった。正確には頭部装甲の視野システム。
「フンッ!!」
腕部装甲の肘についているブースターを使用し、とてつもない速さで真横にチョップを叩き込む。
ガキイィィィィィィイイン!!
という爆音と共に火花が散り腕に振動が伝わった。
最初、当たった瞬間はやったかと思ったが。煙が晴れ、改めて攻撃した敵の方向を向くと、肘を下方向におろし、ガードしていた。腕部装甲同士が未だにぶつかりながら震え、黒板を引っ掻いた様な音と共に火花を散らしている。
「甘くみてもらっちゃ困るなぁ、戦闘装甲同士の戦いなら自身あんだぜ」
クソッ、と思ったのもつかの間。ガラ空きになっているボディ部分にフルバーストを使用した蹴りを入れられた。とてつもない爆発音と衝撃と共に、上方向に蹴り飛ばされた。無防備な胴体。フルバーストを使用した超火力の蹴り。
もちろん耐えられる訳も無く、上に吹き飛んだ。
目線の先には床が割れ、煙がただよう中に、脚部を上に上げたままの戦闘装甲が見えた。
そのまま天井に激突、突き破り次の天井に激突、突き破り。戦闘したのがビルの中だったので、5階分くらい上に吹き飛ばされた。
戦闘装甲から見た世界は赤く染まっており、警告のメッセージが出ていた。そのままどうする事もなく、視界が闇に包まれていくにつれ、意識が遠のいていった。
どうやらあの後、別の部隊が到着し3人を確保したらしい。天井にめり込んで活動停止していた俺、真紅の戦闘装甲は無事救出され、治療を受け、本部のお偉いさんにこっぴどく叱られた。体より頭をうごかせとの事。
と、自分のプライベートルームのベッドで頭を整理していた。別に一回任務失敗したからってあんなに怒んなくてもいいじゃん。あのハゲジジイ。
一人ブツブツ言ってると、ピンポーンとインターホンが鳴った。まだ少し重い体をなんとか持ち上げ、ゆっくりとドアに近づく。
「はいはいどちらさまッ」
そう言いながらドアをゆっくりと開いていたら急にドアが勢いよく開け、というより蹴り飛ばされた。
またフルバーストで蹴られたのかと思うくらいドアが開いた方向にぶっ飛んで壁に叩きつけられた。そのまま床にドサッと倒れ込んだ。アレ、前にもこんな事無かったっけ?
「ちょっとカナイ大丈夫!?蹴り飛ばされて腹に風穴を開けられたらしいけど!!」
「は・・・腹に風穴を開けられたらとっくに死んでるわ・・」
そう言いながらフルバーストな蹴りでドアを開けてきたのは昨日の事件の時、本部から連絡してきた アレクシア・ユークリッドという非戦闘員だ。
一緒にご飯たべよと言っていたあいつだ。できれば今一番会いたくない。
「無理するなって言ったじゃないですかッ!しかも犯人を捕らえてと言ったのに一人だけ死んでましたし!」
「一人は俺じゃなく仲間が殺したの!」
「ご飯どうするんですかぁ!!」
「そっちの心配!?」
俺事アルフォス・ニライカナイの心配はしてくれないらしい。ひどいね。
イモータルアクセス ケイオス @keios1203
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。イモータルアクセスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます