春と夏の間の野望

島元澄夏

プロローグ

鏡は真実を映しますか。

いいえ。

鏡に見えるのはあなたが見たいものだけ。


私が自分の顔を嫌いになったのは高2の春でした。

とてつもなく可愛いと思ってたわけじゃないけれど、人並みよりは可愛いと思ってた。

今思うとなんて間抜けなんだろう。

私は自分が本気でブスだと思ってる。

私よりブスな人なんてそこら中にいるのかもしれない。

でもそんなことはどうでもいいし、なんの励ましにもならない。

可愛くなくちゃ意味ない。

私は可愛くなりたい。

他になんの欲もない。

勉強はできなくてもいいし、運動神経だって少し悪くてもいいし、友達が少なくてもいいし、お金持ちじゃなくていい。

ただもう少し可愛くなりたい。

好きな人がいて振り向いて欲しいわけじゃない。

1人の人に好かれたいんじゃない。

たくさんの男子に可愛いって言われたい。

本気で好きになってくれる彼氏がいなくてもいい。

ただみんなが私に憧れて付き合いたいと思って欲しい。

こんなに純粋に願ってても生まれながらの顔は変えられない。

世の中はどうしてここまで不公平なんだと世を恨む。

私はただ可愛くなりたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

春と夏の間の野望 島元澄夏 @poki-haji-925

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る