花の散る里

作者 真夜中 緒

16

7人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

源氏物語に登場する女君のなかで、穏やかに包み込むように源氏を愛した花散里、夏子。
髪を落とした彼女の晩年を描きつつ、これまでを回想する物語です。
明るく生命に満ち、常にあたたかく在った夏の庭。
それと対照的に、寂しく雛びた北山の庵。
それが夏子の心の内を示しているようで、切なくなります。
凪いだ水面の下を流れる深い想いを。
舞い散るひとひらのような、哀しく絶えることの無い愛を。
閑な庵で空を見上げながら、沁々と思うばかりです。

★★★ Excellent!!!

源氏物語サイドストーリーの本作は花散里視点の物語です。

光源氏の恋のお相手の中でも地味な印象の花散里。
いつも一歩引いたところから源氏を、周囲を見守っている印象の彼女。
たまにしか通ってこない源氏を責めるわけでもなく、たおやかに接する彼女はまさに源氏にとって「癒しの里」
源氏も長く大切に愛した彼女。

そんな彼女にだってもちろん感情はある。人には告げなかった想いもある。
そんな回顧録が本作品です。

源氏物語だけでなく、平安時代の風俗にも精通していらっしゃる作者さまの紡ぐストーリーにいつも夢中になります。

源氏物語をご存知ない方でも大丈夫。
ひとりの女性のラブストーリーとして十分に楽しめます。
もし花散里に興味を持たれたのなら、ぜひ原文や現代語訳をお手にとってみてください。

源氏物語をご存知のかたなら存分に本作品を堪能できます。
ご自分が花散里になった気分を味わえるのではないでしょうか。

こちらの作者さまは他の源氏物語に登場する女君の物語も多数書かれていらっしゃいます。
ぜひひとりでも多くの方に「真夜中」源氏を楽しんでいただきたいです。