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EpisodeⅠ-Ⅱ都市伝説『カウントダウン』




「あ、目が覚めたんだ」


ベッドに座り込んでうずくまっていろいろ整理していると声が聞こえた。


正面を見るとこちらをのぞき込む女の子がいる


「私ステラっていうの」


ステラという少女の話によると僕は大通りで倒れていておばあちゃんがここまで運んでくれたそうだ。


「こらー!!ステラ、目覚ましたら呼べつっただろうがい」


怒鳴り声と共に大柄な老婆がドシドシとこちらに歩いてきてステラを叩き付ける。


「痛いなー!なにすんのさ!おばあちゃん」ステラは叩かれた頭を押さえながら反

抗の言葉をこぼした。


「漫才やってる場合じゃないね。あんた名前は?」


大柄な老婆はこちらを睨めつけ名前を聞いてきた。


「皆方月夜・・・です」


その威圧感と貫禄にビビりながらも自己紹介をすませた。老婆の名前はミランデというらしい。


「そうかいな、ツキヨ・・・身体は大丈夫かい?」


ミランデさんは心配そうに声をかけた。なんだ意外と優しい人じゃないかと内心


ホッとし「はい、大丈夫です」と答える



「ならさっさと出ていきな!ここは宿屋だ。これ以上泊まるってんなら金とるよ?」大丈夫だと聞いた瞬間態度が一変し月夜を追い返そうとする。



「そんな、おばあちゃん。もう少し居させてあげてよ」


ステラがミランデさんの腕に飛びつき引っ張る


「わかったから引っ張るんじゃないよ」




ミランデさんが少し考えるそぶりを見せると

「そうさね・・・そんじゃお使いを頼まれてくれるかい?」

そう提案してきた。


「おつかい?」


「ああ、そうだよ。リムの実を3つ買ってきてくれないかい?」

「リムの実?」

「そうだリムの実だ、たかだか120ルインだろ?悪くない話だと思うが?」


ルインとはこの国の通貨のことだろうか、そもそもリムの実というのも初めて聞く名前だ。



「ん~勢いで返事してしまけど・・・どうしよ」

月夜は自分の財布の中身を見る。


リムの実はもう分かった、というのも見たこのない果物を売っているおばちゃんに


聞いてみたところあっさり見つかってしまった。


それは、勾玉のような形をした紫色の果物だった。


はっきり言って想像していたのまるで違う・・・まずそうだった。


そのリムの実を買おうと試みてとりあえず500円手渡したがなんだこれはと追い返さ


れたのだ。しかも出禁になるというこの始末



「はぁ・・・」思わずため息がこぼれる、というかため息しか出てこない。


問題は金だ。買う品は分かっているのに買えないというのは、なんともどかしいことなんだ。

月夜は設置されていたベンチに腰掛ける。


「詰んだ」


ため息とともにそんな言葉が漏れ出す


__ピピッ


どこからか機械音がした。

その音の発信源を探していると腕からなっていることに気が付いた


腕をみると『20』という数字が刻まれていた


「ん、20?なんだこの数字」


その数字が刻まれいている右腕を強く擦ってみるが消えない。



「なんだんだよ・・・これ」


腕に刻まれている数字に不信感を抱き、さらに強く擦るがやはり消えない


「無駄なのだ」


突然後ろから声がした


「うお!びっくりしたぁ」

その声に驚いた月夜は振り向いた。

すると月夜の座っているベンチのうしろから覗き込む少女の姿があった

「驚かせてすみません、私はライラ。こっちは妹のライム」


隣に立っていた少女が自己紹介する。


こちらをのぞき込む少女はライムというらしい。


「無駄ってどういう意味だよ」


「どうって、そそままの意味なのだ。擦ろうが傷つけようが、腕を切り落とそうがその数字は消えないのだ」



ライムがそう口にした。


その顔は真剣な表情だった。


「どういうことだよ?」


「それについては私が説明します。その数字は日を追うごとに一つずつ消えていく。いわば日めくりのカウントダウンのようなものです。」


「ゼロになるとどうなる?」


月夜はライラの説明に何気なく聞いてみる


「死にます」


即答だった。

その答えにいまいち実感が湧かなかったが、ここは異世界だ。


なにが起こる分からない


「でも、何か大きなことを成し遂げたら3つ増える」


ライムが告げ口をした。


「大きな事って?」


月夜は少女達に聞くと二人は黙りこむ。

 

「そろそろ時間だ!じゃーねー」


「また、どこかで会いましょう?皆方月夜」


今、自分の名前を言った。

教えていないのに、しかもフルネームで・・・


そもそもなんであいつらこの数字のこと知ってんだ?どこまで知ってる?月夜の頭の中はそんな疑問ばかり浮かぶ。


「おい!待て・・・あれ?」さっきまで後ろにいた二人の姿がなくなっていた。

 


  

「まぁ俺の寿命と思えばいいか」月夜は右腕を上げ空にかざして刻まれいる20とう



数字を見ながらそう言い聞かせた。あまりにも短すぎる余命宣告、正直言って実感


はないがあの二人の少女が嘘をついているようには見えなかった。







___「そうだ、面白い事考えたぞ?」王座に座る一人の男がそう呟いた____




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皆方月夜の異世界録 銀猫うさぎ @ginnekousagi

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