皆方月夜の異世界録
銀猫うさぎ
EpisodeⅠ-Ⅰ都市伝説『異世界の扉』
キーンコーンカーン
放課後のチャイムが鳴る。「月夜ちゃん」帰りの支度をしていると誰かが僕の名前を呼んだ。
「ちゃん付けすんな!一応男だぞ」皆方月夜…それが僕の名だ。正直僕は自分の名
前が好きではない、なぜならこの名前のおかげで小さいとき散々な目にあったから
だ。
『女の子みたいな名前』だとか、しまいにはオカマとか言われた始末だ。
「いいじゃん、減るもんじゃないしさ」「僕がいい気しないからやだ」僕を呼んだ
声の主はいつもちゃんづけで呼ぶ朝倉だ。「んで、なんの用?」
「一緒に帰ろうぜ」
「いいよ」
靴箱に向かってる途中
「あ、ごめん月夜ちゃん忘れ物」朝倉が足を止めた
「なに忘れたん?」「今日貰ったプリント」僕の問いに答える朝倉。
「明日でよくね?」
「それもそうだな。まぁ、でも一応取りに行ってくるわ」
そう言って走り出した朝倉の僕は背中を見届ける。
しばらくして
「よう月夜ちゃん待った?」「遅くね?30分も何してた」
先に帰ろうと思った途端に軽快に話しかけてきた。
「まぁまぁ、それよりも耳寄りな情報を仕入れてきたぞ」
と嬉しそうにはしゃぐ朝倉に対して「ほう・・・30分も待たせといといてそれか。くだらなかったら殴り飛ばすからな?」
「異世界への扉という都市伝説を知ってるかね?」「朝倉、歯・・・食いしば
れ?」
うん?と反応する朝倉に対して月夜は満面の笑みで握りこぶしをつくる。
「まぁまぁ最後まで聞けって」
「どうだ?面白そうじゃね?」
異世界の扉という都市伝説の内容は朝倉の話によると、深夜の12時に鏡の前に立つと扉がが出現し先へ進むと異世界に行けるといったものだ。
「やっぱ殴っていいか?」
怒りを通り越して呆れ始める月夜は気怠く言う
「それでだ!お前にこれを試して欲しいんだよ」朝倉は、目を輝かせGIMPながら言ってきた
「はぁ?嫌だよ自分で試せ」
「戻れなくなったら困るじゃん」
頭に腕を組んでお茶らけたふうに言う
「お前な・・・」
___家に帰宅後、「異世界の扉・・・か」昼飯を食べたあと、なんとなくPCで検索する。すると、検索ワードに
『異世界の扉 本当』 『異世界の扉 危険』
というものが目に入ってくる。
それにカーソルを合わせてクリックしてみると
『お前ら異世界の扉は絶対試さないほうがいいぞ』
というスレを見つけた。スレ主のとある友人が異世界の扉を試したところ
連絡が途絶え捜索願いも出され未だに見つかっていないという内容だった。
その内容に対して『釣り乙』 『怖いなww』などの返信があったが、少なくとも月夜は少し興味が湧き出してそのページを閉じた。そして、今夜にでも決行しようと試みることにした。
___現時刻23時30分
「もしもし起きてるか?」
「どった?」月夜が電話を掛けたのは朝倉だ。
あと30分後に決行することを伝えると「おお!まじか!!がんばれよ?異世界に行ったら連絡よろしく」物凄く嬉しそうな反応を見せる月夜の期待が膨らむ。
異世界に行ったら何がしたいかなどの他愛もない話をしているうちにあっという間
に残り時間が3分ほどになった。
「じゃあそろそろ時間だから切るわ」
「いってらっしゃい異世界生活がんばれよ?」
電話を切った後、鏡の前に立つ。なぜか妙に緊張して少しそわそわしてしまう。
デジタルの腕時計を見ると0:00とさしていた。いよいよ扉の現れる時間帯だ。
1分立つまでとりあえず待ってみる・・・が一向に現れる気配がない。
時間を見てみると0:03になっていた。
「そりゃそうだよな~何を期待してたんだか僕」
結局なにも起こらずやるせない気持ちになりさっさと寝ることにした。
バタッ
「痛って」ベッドから転がり落ちた痛みで目を覚ました
「え?」月夜は仰向けの姿勢のまま唖然とする
見知らぬ天井が目の前にあったのだ。
「どこだよ・・・ここ」
起き上がって周りを見てみるが自分のここは部屋ではない。よくゲームでドラ○エ
に出てくる素朴な宿屋という感じの部屋だ。
部屋の隅に窓があったので何となく覗いてみる。
「んなっ・・・まじか」
正直驚きを隠せなかった、普通の人間はもちろんいわゆる獣人と呼ばれる者や全身うろこのトカゲのような人・・・俗にいうリザードマンいうやつも普通に大通りを歩いているのだ。
マンモスの子供のような生物が荷車を押している始末。
「嘘だろ?」これは夢だと自分に言い聞かせ頬をつねる。
「いぎっ」普通に痛かった・・・
痛みが引いてくと共にある実感が湧く
___本当に異世界に来たんだ____
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