Straightforward

@yozora7272happy1229

第1話 行方不明の少女

 最近なんだか憂鬱に思えてくる。その理由はなんとなくみんなは分かっていた。

「また、雨降ってる。なんか憂鬱になるなぁ。」

「ホントそう思います。私が天気の魔法を使えたらいいんですけど…」

 黒髪の少年と金髪の少女が曇った空を見つめていた。

 その目に前には顔を伏せている水色の髪の少年がいた。

 彼らは雨で憂鬱になっていたのもあるが、一番の理由としては違った。いや、憂鬱という言葉は不適切かもしれない。

 彼らの仲間である少女が行方不明になってから、誰も元気が出なかった。


 1ヵ月前ー

 いわゆる何でも屋のストレイトフォワードというギルドに、水色の髪の少年、アキ、黒髪の少年、ガレン、金髪の少女、シェイナは所属していた。

 彼らは、アイビー魔法学園に行った後の放課後にここへいつも来ていた。

 魔導士の学校は放課後にギルドに行って仕事をするという活動を行なっている。要するにアルバイトである。アイビー魔法学園にもその制度があり、何個かのギルドがあった。その1つがストレイトホワードである。

「おーい‼︎エミリーいるかぁ‼︎」

 アキがギルドに入るなり、全力で叫んだ。

「今日もいねぇのか…。」

 その後に続いてそう呟いたガレンとシェイナが入って来た。

「ハクア‼︎エミリー見てねぇか‼︎」

 アキはギルドに帰るなり、ストレイトホワードに所属してる同じクラスの白髪の女魔導士ハクアに言った。

「おい‼︎まず、帰ったら『ただいま』だろう‼︎」

 ハクアは椅子を蹴飛ばした。

「ただいまぁ‼︎」

「おかえり。」

 ハクアは倒した椅子を直し、座り直した。

「ただいま、それでエミリーは帰って来てないのか、ハクア。」

 ガレンはハクアの前に座り、ハクアの前にあった大量の苺チョコをパクッと食べた。

「ああ、手がかりもつかめてない。一体、どこに行ったのやら。」

「1週間も連絡がないってエミリーらしくないですね。」

 シェイナはガレンのとなりに座った。

「あ〜、もう、アキ‼︎お前のせいだぞ、前にエミリーを放っていたから。」

「しかたねぇーじゃん!前はフィニーがいなくなったから探してたんだよ‼︎」

「結局、家にいたじゃねーか‼︎」

「まぁまぁ、フィニーはいたんですしいいじゃないですか、あっ、そういや、フィニーはどこに行ったんです?」

「あー、多分、パイナップル買いに行った。」

「あいつは全くだな、パイナップルぐらい私がまとめ買いするのに。」

「さすがですね、ハクアさん‼︎学園5位はすごい‼︎」

「権力乱用だ‼︎」

 アキがニヤニヤしながらいうと、ハクアの手がボキッと鳴った。

「アキ…、何か言ったかな?」

「なんでもありません…」

 ハクアと目を合わさずにアキは冷や汗をかいていた。

「ハクア、何?パイナップル買ってくれたのぉ〜!」

 ギルドのメルヘンな入り口には彼が立っていた。

 アキの髪と同じ色のネコ、フィニーがパイナップルを持って立っていた。

 40cmぐらいのフィニーはトコトコちょっとずつ歩いてくる。

「いや、毎日パイナップルを買うのはしんどいだろうから、私がまとめ買いしてあげようという話をしていたんだ。どうだ、悪くない話だろう?」

「学園5位様も、パイナップルのことはなんちゃ分かってないよ〜、鮮度が大事だよ。せ・ん・ど!まとめて買っちゃうと後のほうに食べるパイナップルが不味くなるよぉ〜」

「そっ、そうか…。」

 ハクアは残念そうな顔をしていた。

「あっ、アキ、エミリーの情報なんだけど、7日前に街で黒髪のイカツイ男の子と歩いていたのを見たよってフルーツ屋さんに聞いたよ。」

「うーん」

 アキは一番苦手な考えることをし始めた。

「黒髪で…」

 みんながガレンを見つめる。

「俺じゃねぇーよ。」

 ガレンは首を横に振った。

「イカつい…」

 みんながまたガレンを見つめる。

「だから、俺じゃねぇーよ!てか、俺イカついか⁈」

 ガレンは声を荒げ、否定した。

「男の子…」

 みんなはもう自然にガレンに目線を向ける。

「そんな男の子どこにでもいるだろっ!俺なわけねーんだよ。」

「だよなぁ〜」

「当たり前です!ガレンがそんなことするわけがありません‼︎」

「おい、シェイナ、そんなこと言いながら、俺のこと見てたじゃねーか。」

「でも、エミリーとガレンだったら、ただのお友達には見えないんだよねぇ〜」

 ニヤニヤしているフィニーは切ってもらったパイナップルをパクパク食べていく。

「だとしたら、そのイカつい男って、誰だよ?」

 アキが眉を寄せる。

「まさか、不審者にさらわれたのかも⁉︎」

「それだったら、エミリーの居場所が分かる情報を街で集めねぇか。」

「私もガレンの意見に賛成だ。」

「私もです。」

「よぉーし、エミリー待ってろよ‼︎」

「…」

ハクアが自分の目の前にあった皿を見つめていた。

「てか、私が食べていた苺チョコがなくなっているのだが。」

「ハクアが全部食べたんじゃねぇーのか?」

「ガレン…お前か…。」

 その瞬間、ガレンは猛ダッシュで逃げていった。

「おのれ〜‼︎ガレン‼︎苺チョコの代償は大きいぞぉ〜!!!!!!!!」

 ハクアもガレンの倍の速さで走っていく。

「ガレンはすぐに追いつかれるな。」

「ボコボコにされちゃうね〜」

 アキはガハハと笑った。

 それとは対照的にシェイナは真剣な表情をしていた。

「いやな予感がします。」

 シェイナが呟いたことに返事をするように風が冷たく吹いた。

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