スカートクラゲとはいったいなんなのか

たまたま、海辺に打ち上げられているスカートと、その中にクラゲを見たことにより、スカートクラゲというよく分からないイメージを抱えてしまった人のお話。
その光景に心を奪われてしまったあまり、ついぞ、現実の世界のスカートに――おおそらく女子校生たちの姿に――海に帰りたいと願うクラゲの心境を見てしまう。

美しい光景、印象的な情景に、心を奪われてしまった人間の思考を切り取りだしてユーモラスに描いた作品。

淡々として落ち着いた口調で語られる独白が実に美しい。
また、スカートとクラゲという組み合わせやにセンスが光っています。ともすると、この手の作品はクラゲの生態などをバックボーンに持ってきて、文学的重厚さを醸し出そうとするものです。しかしあえてそれをせず、陸に打ち上げられたクラゲの悲哀を等身大の人間的感覚で擬人化して憐れむという、人間の思考の面白さを抉り出す方向で描かれているのが個人的にはツボです。

さっくり読めるので眼を通してみてはいかがでしょう。
なんだろうな、と、今日一日スカートを見るたびに、クラゲのことを思い起こすことになるかもしれません。
おすすめです。