人生終了?(ストーカーじゃないからね!?)
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第1話好きです!付き合ってください
「好きです!付き合ってください」私はこれで292回目の告白をしたところである。
「嫌、だからあきらめたらどうなの?あんた自分の容姿とか見て言ってんの?少しは考えて告白しなさいよ」そう言って香奈枝先輩はさっさと部活に戻っていった。
私と香奈枝先輩の出会いは2年前になる。私がまだ高校生になったばかりのころ、私は中学では地味グループにはいっていたので何とか高校デビューをしようとバシッと決めようとしてみたが・・・結果は逆にクラスから完全に浮いてしまった。
私はそれでも人生で一回しかない高校生活を謳歌したいと思い、今度は部活で活躍して全校生徒、いや、学校の校舎の横断幕に自分の名前が挙がると想像しただけでヒャーーーーーッと気分が上がった。そうして私は部活を片っ端から見ていき、私でも全国大会で活躍できそうな部活を探した。しかし、運が悪いといえば良いのか天は私に一つも才能をくれないのか何とか。私は運動神経も文学の才能もないし、その上容姿も悪いうえにコミュニケーション能力もなかった。
ッと教室で部活の紹介本を読んでいたら「全滅じゃねえーーーかよ!え、もしかして俺って才能なしですか?もしかして俺って人生負け組になりそうですか?」と一人教室で叫んでいた。
周りは「あいつ・・・・・やべえな」と陰で言われてますます私は孤立していった。
はあーーーーーっ、そういえば中学の友達は今頃どんな青春を謳歌しているんだろう。私は想像しながら中学の同級生たちのことを思い出した。
はあーーーーーーーーーーっ、俺ってそういえば友達いなかったわ。中学の時もアルバムになんも白紙のとこに書かれてないわーーーー。
そんなこんなで部活もダメ出し友達もダメ出し、もうほんとにどうしようと思っていた。香奈枝先輩と会ったのはそんな人生が15歳ぐらいでお先真っ暗な時であった。
6月に私は一人でボッチ飯を食べようとしていたら、あろうことか弁当を忘れてしまったのである。
おーーーーマイゴッド!ホーリシット、ファッキンジャップが!私としたことが弁当を忘れるとは。こんなことならマイマザーにきちんと確認してもらえばよかったぜ!仕方ない。こんな時は私でも一人でも目立たない購買に乗り込んであんパンと牛乳をかっさらうとするか。
そう、思い立ったが吉日。私は昼食の時間になったら、ウサギ=ラビットも仰天するだろうと思うほどのジャンプをし、教室をでて、ウサイン・ボルトよりも早い7秒台を出すほどの脚力で廊下をさっそうとかけていった。頭の中の想像ではそんな感じでしたつもりだが、ふぁっく。やはり私の運動神経ではそのような荒くれものだらけの中では勝てないらしい。結果的に私が付いたときにはただ味のないコッペパンとお茶しかなかった。コッペパンとお茶って!いやいや全然あってまへんがな!そんな一人突っ込みをしたところでトボトボ帰ろうしていた時である。
「そのコッペパン私にくれない」そこに女神がたっていたのである。
それが香奈枝先輩だった。私には彼女の姿は自由の女神よりも高く、そしてその顔立ちはまさに現在のマリリンモンロー、マドンナ、紫式部・・・紫式部は男性か?まあ、そんなことはどうでもいい。とにかく私はカノジョに一目ぼれしたのである。そして私が何か言おうとしたら「いいから私にコッペパンよこしな」と言って私からコッペパンを取っていったのである。
さすが自由の女神、人生も生き方も自由な人である。
「あんた大丈夫かい?先生呼ぶ?」そう購買のおばさんが言ってきたが、「ノンノン、そんなのは必要ないさ、私は今日人生で最高の瞬間に会いましたぜ旦那」そう私が笑いながら言うと「私一応女なんだけど」
おーーーーー、くだらないことはまあまあ、置いとこうか。外野はここいらで退場してもらいましょう。ここからは私と香奈枝先輩のラブラブデンジャラスなハッピーな恋物語をお届けしようじゃないですか?
「好きです!付き合ってください」私はその次の日早速愛の告白を香奈枝先輩にした。そもそもなんで初対面で会った次の日に先輩の名前を知っているかだって?それはだね・・・・企業秘密というものだよ。
「はあ!なんで私があんたみたいなやつと付き合わないといけないの?そもそもあんた誰?」
「誰といえばですね。それは話すと100年と32日ぐらいかかります」
「いや、あんた何言ってんの?」
「だから簡単に言えば私は香奈枝先輩が好きなんです」
「私あんたみたいなのタイプじゃないから」そう言ってその日は別れた。
次の日またもや私は香奈枝先輩に告白した。
「好きです!付き合ってください」
「だから昨日もそれ言ったじゃない。私はあんたなんて興味もないし付き合う気もない!」
「ですよねえーーー、そうですよね。私なんか運動神経も悪いし頭も悪いし養嗣子もダメ出し。はあーーーー、なんて私は負け組なんだ。でも私はあなたのことが好きです。もうなんといっても私はあなたのためなら火の中水の中嵐の中。もう大好きでたまらないんです。だから付き合ってください」
「・・・・・・あんた馬鹿なの?」
「馬鹿ではないです。あなたにぞっこんなんです」
「帰る」そしてその日も振られた。
私はとりあえずこのままだと平行線だと考えに考えた結果、香奈枝先輩の身分調査から入ることにした。そう気分は名探偵、決してストーカーではないですから、決してストーカーではないですから、決してストーカーではないですから!大事なことなので3回言いました。
それから私は香奈枝先輩が普段どのような学園生活を送っているのか毎日毎日観察することにした。どうやら彼女はテニス部に入っており、その中の副キャプテン、そして全国区の選手らしい。だが、素行は悪くしばしば不良グループに属しているらしい。ほんとにまだまだ私の性癖をよくしてくれる先輩である。どMの私には彼女はほんとに最高のパートナーではないですか。不良で全国区のスポーツ選手。そしてsmで言えばsの人なんて最高ではないですか!まあ、そんな人を一度協調したらまたそれはそれでいいかもしれない。
「もう、そんなに激しくしないで!もっと優しくして」
「ダメに決まってんだろうが!この俺の○○〇を食えねえのか?少しは豚は豚らしくするんだよ!」
「ク、殺せ」
フフフ、何か最近人気のあるオークと女騎士の漫画を連想してしまう。おーーっとそうすると私はオークで香奈枝先輩は女騎士かな。いいねえ、実にいい。こんなことやあんなことを香奈枝先輩とたくさんしたい。
私はとりあえずネット通販でそれ用の道具もそろえることにした。
「あんた、アマゾンからなんか届いてるけどこれ何?」家に道具が付いたらすぐさま私はマイマザーからそれを取り上げた。おーーーーっ、マイマザー見ないでくれベイビー。自分の息子がこんな変態になっているなんて知ったら両親は離婚してマイマザーはきっと俺を捨てるんだろベイビー。だからこの箱は見たらダメなんだ。わかってくれ。俺はまだこの家でゆっくりと後50年は学生生活を送った後に、親の年金生活で無職ライフをゆっくりと送りたいんだ。
「香奈枝先輩、あなたにこれを送ります」私はそれからたくさんの贈り物を香奈枝先輩に渡した。
「だからあんたほんと何なの?気持ち悪。ほんとに気持ち悪いわあんた」
「フフフ、それが照れ隠し何だと私は認識していますよ」
「だからさあ、あんたほんとに何がしたいの?」
「香奈枝先輩と付き合いたいんです」
「何であたしとなの?そもそもあんたとあたしの接点っていつあったの?」
「それは前にも言いましたけど、それはですね私と香奈枝先輩が同じ日に同じ場所でまるでアダムとイブがリンゴを食べたように。そしてロミオとジュリエットが結ばれない恋に出会ったように。美女と野獣が禁断の恋に落ちたように。まあ、それはもうほんとにですね、人生でこれほどのロマンチックな出会いなんてないほどの最高の日でしたよ」
「だからそれはどこで?」
「・・・・・・購買のところで香奈枝先輩にコッペパンをカツアゲされたときです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはあんたロマンチックなの?」
「ロマンチックじゃないですか、美女と野獣もびっくりもんですよ。アインシュタインが相対性理論を発見した時ほどの発見ですよ!どうですか、この感動がわかりましたか?」
「わからん、全然わからん。とりあえずあんた一度病院に行ったほうがいいことがよくわかったわ。そんでこれ以上かかわるならそれこそ学校だけじゃなく警察にも言うからね!」
そんなことを香奈枝先輩は言っていたが、しかーーーーーーし私はそんなことではくじけないし、あきらめない。これからも香奈枝先輩のストーカー・・・・ではなく、調査していき、そしていつの日か香奈枝先輩と付き合えると信じている、というかしますして見せます。何とかするんです。
そして、それからも雨が降っても風が吹いても雪が降っても槍がふろうとも私は香奈枝先輩に告白し、そして香奈枝先輩のことを調べに調べつくし、そしてプレゼントを渡しては振られて。香奈枝先輩が高校の部活の遠征に行くものならひそかについていってはオリジナルのはちみつレモンを差し入れに行ったり、テスト期間中は甘いものがほしいと思い、ロッカーに大量の手作りチョコレートをおいていってたり。
もう、ほんとに香奈枝先輩にぞっこんぞっこんですよ。
その日もいつものように香奈枝先輩に告白した。その日は記念すべき300回目であるのに台風が近づいているためか雷雨であった。
「好きです!付き合ってください」私はいつものように明るく告白した。
「・・・・・・・・ふうーーーー」その日の香奈枝先輩は少しいつもと違っていた。
「どうしたんですか先輩。何かあったんですか?もしかして大会で左足をけがしたのがまだ痛むんですか?」
「ありがとね・・・・・でももういいよ」
「何がですか?」
「もういいから」
「だから何がですか?」
「もう死なないから。もう自殺なんてしようと思わないから」香奈枝先輩の言葉はいつもより大人びていて、そして複雑な表情だった。
「そう、ですか」
「あんた私との出会いが購買なんて嘘なんでしょ?」
「違いますよ。私と香奈枝先輩はアダムとイブのように最初からずっと一緒に・」
「だから、さ、ほんとは私が屋上から飛び降りそうになった時でしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほんと。なんであの時に人がいるかな。夜よ夜。それも生徒なんて絶対にいないはずの時間帯になんであんたが屋上に来るかな」
「どうしてでしょうね」
「ほんとどうしてなのよ?」
「少し疲れていたのかもしれませんね。あの時は」
「はっ、ほんとよくわかんないやつ。まあ、もういいわよ。私はもう自殺なんてしないし、そもそもそろそろこの高校生活ともお別れ。ほんと今までたくさん告白してくれてありがとうね」
「いえいえ、で、結局今日の返事はまだ聞いていませんが?」
「そんなのダメに決まってるでしょ」
「えーーーーーーーーーーーーーーっ!普通こういう時はオーケーのはずなんですが?」
「だって、あんたタイプじゃないし」
「そんなあ!」
「フフフ、まあ、それはそれ・・・ほんとありがと」そう言って香奈枝先輩は振り返って帰っていった。外は雷雨から一転、真っ赤な夕暮れになっていた。
「こちらこそありがとうございました」
私はそれから香奈枝先輩に告白するのを辞めた。そして、香奈枝先輩は卒業していった。
私はそれからもたまに香奈枝先輩とほんとに最初にあった屋上に行く時がある。私は・・・・・・特に人生に理想は求めていないが、それでも人を一人救えたのならば高校生活はそれはそれで、自己満足だが良い高校生活だと思う。ほんとこれじゃあただのオナニー=自己満足。かえって自己満足でもして終わりますかね。
それから噂で香奈枝先輩は東京の大学に進学したらしい。私は地元の大学に進学して地元の企業に就職した。香奈枝先輩はそのまま東京の企業に就職したみたいである。もう二度と会わないのかもしれない。だが、それもまた人生なのだろう。そして、これで私の一つの恋物語も終わりを迎えた。それもまた人生の青春の1ページだった。ほんとに良い思い出だった。そんなことを思いながら私は今日も仕事帰りに自己満足をした後にゆっくりと香奈枝先輩のことを少し思い出す。
「香奈枝先輩、私はほんとにあなたのことが好きだったんです」
人生終了?(ストーカーじゃないからね!?) zero @kaedezero
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