魔法と手品どちらもmagicという。

@Lemon692

転生

皆さんは手品を使えますか?手品は覚えようとすれば覚えられる。

だが魔法は覚えようとしてできるようになるわけでもない。

この二つは全く違うものだがどちらも英語では「Magic」という。






8月の夏休み最後の日。高校生の佐藤 蓮は夏休みの課題が一切終わっていなかった。

「あ〜もう!宿題なんて誰が作ったんだよ。夏休みってのはちょっとばかり長い休日だろ?なのになぜ普段に比べて多い量の課題が出るんだ」

蓮は自由研究論文の課題が終わっていなかった。

「課題は手品について書けばいいかな」

蓮は手品がとても上手かった。学園祭などでもステージに立って披露したほどだ。

そう思い蓮はトランプを手に取った。

「あれ?おかしいな。カードの枚数が53枚もあるぞ」

トランプの枚数は普通52枚で構成されている。蓮はトランプを広げた。

「特に変わったことは………、あつ!何だこれは」

そこには丸い図形のようなものが描かれていた。

「これは……魔法陣? うわっ!」

いきなり魔法陣の描かれたトランプのカードが七色に光り出したのだ。

「貴方が蓮さんですか?」

「えっ?女の子の声が聞こえる…。何処にいるんだ?どうなっているんだ⁉︎」

蓮は混乱していた。それにこの声に聞き覚えがあるような気がした。

「私はいつも貴方のそばにいます。ですがそれと同時にとても遠いところにいます」

「つまりどういうことなの?それに君は誰?」

「今はその質問には答えられません。ですが貴方にしか頼めないお願いがあるのです」

「お願い?」

蓮は少し戸惑った。

「はい。驚かずに聞いてください」

「貴方はもう直ぐ死にます」

彼女は真剣な眼差しで、それにとても悲しそうな顔をしていた。


「………。それは冗談じゃないんだね?よく教えてくれる?」

「詳しくは言えないのです。ですが貴方には選ぶ権利があります」

「僕は死ぬ以外の選択肢があるのか?」

「貴方は別世界に "転生" することができます」



「て、転生⁉︎」

蓮は頭が真っ白になる程混乱していた。

「そうです。貴方は転生できる権利があります」

更に蓮は混乱した。

「つまり僕が異世界に転生しなければ死ぬってことなんだね?」

「そういうことになります。転生なのでどちらも死にますが…」

「どうにか死なない選択肢はないの?」

謎の女の子の返事がない。だが僕の意見を親身になって聞いて、そして考えてくれていることがなぜか蓮には感じられた。


「………ではこういうのはどうでしょう?」

彼女は自信に満ち溢れているように感じられた。

「頭脳はそのままで体は少し弄らせてもらいます。その前の16年間の間はこちらでどうにかしておきます」

「じゃあそうしてくれる?」

蓮は彼女が神か何かかと思ったが、悪人ではないような気がしたので何も言わなかった。

「では異世界へ飛ばします。目を瞑って下さい」

蓮はぐっと目を瞑った。

「転送が終わるまでは決して目を開けないで下さいね」

「わかった」

突然体が軽くなった。

「や………ぇた…………たね」

「え?なんか言った⁉︎」

彼女の声が聞こえた気がしたが小さくて聞こえなかった。





体の感覚がやっと戻ってきた。そして目を開けた。

「ここは………山奥か?」

「レンくーん!」

何処かで女の子が僕に名前を呼んでいる。だが少しアクセントが違うような気もした。だが呼ばれたからには返事をしなければいけない。

「はい?何ですか?」

「何急に改まっちゃって。そろそろ家に帰らないと行けないから私は帰るね!」

きっとこの女の子とは知り合いという設定になっているのだろう。

(神様もちょっと説明してくれればよかったのに)

「うん!じゃあまたね〜」

「どうしたのレンくん。いつもは'サユリ'じゃーねーって言ってくれるのに。今日のレンくん変だよー?」

どうやらこの彼女はサユリというらしい。

「あ、うん!サユリまたね〜」



「えっ⁉︎」

蓮は自分の目を疑った。彼女が空を飛んでいるのだから。

「どうしたのレンくん。いくら何でも飛べるよ!小学生じゃないんだから!」

蓮は驚きのあまり言葉を失っていた。

「も〜。2年生で魔術テスト学校トップのレンくんに驚かれたってバカにされてるようにしか感じないよ」

蓮は自分の事なのに自分で驚いてしまった。

「そうだよね、ごめん」

「いいって!じゃあまた明日学校でねー」

そう言い残して飛んで行ってしまった。

「レンー!そろそろご飯だよー」

近くの民家から自分を呼ぶ声が聞こえた。

外見は木で作られた小屋のようなものだった。だが明らかに前いた世界と違う事があった。

玄関前のライトが浮いていた。それ以外にも、ポストが自我を持っていたり表札が光っていたりするのだ。表札にはこう書かれていた。

"クルシュ&レン宅"

とりあえず蓮は家に入ってみた。鍵は掛かっていなかった。

「おかえりー。洗浄で手を綺麗にしといてねー。ご飯あと5分ぐらいで出来るから自分の部屋で待ってってね」

そこで料理をしていたのは自分と同じぐらいの若い女の人だった。

蓮は何となくこの世界がわかってきた。

「部屋何処だっけ?ど忘れしちゃった」

「どうしたのレン。いくら新生活で舞い上がってたからといって自分の部屋忘れちゃダメだよ!部屋は階段上がって2つ目の部屋でしょ?」

それとなく聞く作戦は成功した。

「そうだった。ありがと」

とりあえず自分の部屋に向かう。部屋の中にはローテーブルが一つと窓が一つ。

あとベットと沢山の本があった。

「あれ?何だこれは」

ローテーブルの上には紙切れが一枚置いてあった。

紙にはこのような事が書いてあった。




{いきなり異世界へ来て戸惑うこともあるでしょう。なので貴方の住む世界。そして周りの環境について説明します。

常識としてまずこの世界で苗字は存在しません。

この世界には3つの大国 【プッカ・アステロ・シューゲルツ】 があります。

今貴方がいる国は【アステロ】です。

常識としてまずこの世界で苗字は存在しません。

もう薄々気付いているかもしれませんが、この世界には魔法が存在します。

ですが、魔法は誰でも使えるものではありません。魔法がまともに使える'魔術師'は1000人に1人の割合でしかいません。生まれた際に魔力測定が義務付けられており魔力が多い、魔術師と判断されたら親元から引き剥がされ王宮で過ごすことになります。12歳まで王宮で勉学に励むと成績次第で王宮の外で暮らす事ができるようになります。ただそれには条件があります。

1:魔術師の育成学校通称【流星】に通う

2:近くの人たちに自分が魔術師だとバレてはいけない。

3:家計は自分で賄う。

4:家には必ず男女の2人で住む

この三つです。今蓮君は同級生のクルシュさんと同居をしています。

今の状況はこんなところです。そして君が仲がいい人を挙げます。



クルシュ 性別:女

蓮と同居している家事・洗濯・料理に関して神的センスを持っている。

サユリ 性別:女

クラスメイトで近くに住んでいる。良く山で薬草を摘んだりする。


ヴァッシュ 性別:男

男子で唯一の幼馴染。王宮に引き取られて間も無く両親が自殺してしまったので国に恨みを抱いている。


他の子達は自分で探してみてください。

追記:

この世界に強引に連れて来てしまったのであなたにはギフトを贈りました。ギフトを受け取れたら自分が魔法を使っている姿を思い浮かべてみてください。

では頑張ってこの世界を生き抜いてください。そうしたらもう一度私と会えるかもしれません。}

レンが読み終わると同時にメモ用紙の様なものがいきなり燃えて、真っ赤なクリスタルのついた首飾りになった。

それを着けてみた。そして謎の神の言う通りに魔法を使っている自分を思い浮かべた。

するとクリスタルが光り出した。

「うわっ!」

目を開けたら目の前にあったクリスタルは消え、女の子になっていた。

「こんにちは!レンさん!私の名前はリミと言います!」

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