無題

mo_modoki

第1話

私は死ぬにはあまりに若すぎて、私が死んだ後の世界に思いを馳せる行為は私を酷く消耗させた。

君は今生きていて、明日も生きて、きっと明後日も生きていく。

天井のシミは今日も無機質に私を見下ろしている。

死にたすぎる私に世間がくれた言葉は肯定だった。

君は今何をしているんだろう。

私が消えた後の世界でも、今日と同じ服を着て、同じ空気を吸って、同じように生きていく君を殺してやりたいと思う私は、まだ生きたいと思っているに違いがない。

君が私が生きていた間より長い年月を死ぬまでに生きるのは癪だから、まだ死なないでおいてやろう。

死にたくない私を乗せて、地球は今日も無慈悲に回っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無題 mo_modoki @mo_modoki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る