残酷無邪気なエクレール アンジュ

伊月橋 真里奈

プロローグ 何も起こらない事こそが一番怖い

「今日も暑いねぇ」

少女はそう言って、紺地に薄と兎の扇子で、口元を隠す。


ありえない程の美少女だった。

スッと通った鼻筋に、切れ長の目。

紅を引かなくとも紅い唇に、光を浴びていないような白い肌、艶やかに煌めく黒髪のコントラストは見事だ。

そして、彼女を見たものは、その目にきっと目を奪われるだろう。

キリッとつり上がった目は彼女の気性を表していて_その瞳はまるで宝石のように紅茶色に澄みきっていた。

雲間から、太陽が出てきて彼女の瞳がキラキラと茜色に輝く。


彼女の名前は、追川楓。

神無中学の二年生、美術同好会の一人である。

次期美術同好会、主将と言われている楓は、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

残酷無邪気なエクレール アンジュ 伊月橋 真里奈 @Kisarazu106

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ