Vampire fangs
@amurta
第1話
episode1
『吸血鬼』それは架空に存在する怪物の名前だ。知らない人の方が少ないであろう。僕もその1人だ。
僕は昔から吸血鬼に憧れている。なぜなら、吸血鬼といえば美しく不死と言われている。17年生きているが告白されたこともなくカノジョなんて出来たことさえない僕だが、吸血鬼みたいに美しいと、さぞモテるのであろう。それに不死なら、誰よりも長く生きられる。長く生きられるのがいいのではない。長く生きるのがカッコイイと思うのだ。
こんな事を思う思春期真っ只中の僕であるが、最近気になる女の子が出来た。
その子はいつも図書室にいて難しそうな本をいつも読んでいる。
僕は図書委員だからよく見かけるし話したこともある。(もちろん貸し出しの必要最低限の会話だが)
一目惚れだった。
彼女はメガネをしていて前髪が長く顔が良く見えないがたまにみえる目が夜の空のように真っ黒でとても綺麗である。同様に髪も絹のようで目と同じで真っ黒だ。
僕はカウンターに本を持ってきた彼女に勇気を振り絞って話しかけることにした。
「いつも難しい本を読んでいるけどどんな本なの?」
「…………言ってもわからないと思います。」
初めて口を開いた彼女の声を聞いて僕は立ち往生してしまった。
まるで鈴のように凛とした声だが、どこかか細く消えてしまいそうな儚い声だった。
episode2
5月吉日。
今日の放課後も彼女がいるであろう図書室へと駆ける。
彼女は今日も難しい本を読んでいた。
「今日はどんな本を読んでるの?」
「…今日は、吸血鬼に、ついて読んでます」
「あっ、僕も吸血鬼なら分かるよ!綺麗で不死でにんにくと十字架が苦手な架空に存在する怪物だよね」
「あ、そうです。」
「えっと…2年C組の
「名前…教えてないです。エスパー…!」
「いつも本借りるから覚えるちゃったよ」
「えっと、貴方は?」
「あ、僕は
「星崎くん……名前綺麗な響き」
「月空さんの名前も綺麗だよね」
月空さんはどこか照れたように俯いた
『か、可愛い……!!』
「名前……綺麗って言われたの初めてです」
「そうなの?」
「友達とか、話す人いないので」
「そっか…」
「あっ、でもでも好きで1人でいるので大丈夫です」
月空さんは長い前髪とメガネでよく見えない顔をくしゃっとさせて笑った。
よく見えないけど僕はとてもはっきりと彼女の笑顔が見えた。
episode3
5月吉日
僕は生まれて初めてストーカーというやつをしている。
もちろん決してただ付けている訳ではない。
月空さんが図書室にいつも本を読む時に使っている栞を忘れていたので付けている。
別に家がどこにあるのか、どんな家なのかなんて知りたい訳ではない。本当だ。ただ月空さんの歩く速度と僕の歩く速度が違うので追いつけないだけだ。本当だ。
月空さんを付けてから45分は経っている。
今どこにいるかというと、人気のない住宅街だ。もう少しいくと山に繋がる。山の上には古い洋館がある。
噂では、人は住んでいるがどうやら、女の子が1人で暮らしているらしい。
そう女の子が1人である。
今どこにいるかというと、山の上の古い洋館の門の前にいる。
うん。やっぱりここが彼女の家であった。予想はしていた。流れ的に。
門にインターホンらしきものはない。どうしたものか。どうやら門にも鍵がかかっている。
入る手段はただ一つ。塀をよじ登る。
仕方のないと言い聞かせて僕は月空宅の塀を登ることにした。
Vampire fangs @amurta
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