第2話 ちょっ、マズくね?

 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや


 おかしいだろこれ!!


 なんでSSまでしかないはずのランクがSSSななんだよ!しかもスキル多!!


 ちょっと運営ェ!!!!


 ちらりと奴——天宮寺翔也の顔を見ると


 ドヤ顔!!!!


 そりゃもうすっっっっっっっげぇムカつくほどのドヤ顔。ぶん殴りてぇな。


「いってぇなおい、何すんだ!」


「あ、ごめん。ついうっかり」


 どうやら我慢できなかったらしい。テヘ


「んなことよりこいつはどうしたんだよ」


 翔也が指差すのは、先ほどの駄神官。どうやら彼も翔也のステータスを見てしまったらしく、口は半開き、目を限界まで見開いて固まっている。


 あれま、どうやら凄すぎて脳回路がショートしたらしい。


 南無


「んなことよりマジで何なんだそのステータス。お前あれか?さては元の世界でも裏で勇者やってたクチか?」


「は?さっきからお前、何言ってんの」


 こ、コイツ………ッ!またしてもマジレスしてきおった!ぶち殺したろか?…ってステータス的にそんなことやったら返り討ちですねアッハッハーー


「ゲヘヘヘ、どうされましたかな?ゲヘヘヘ」


 そうこうしていると、俺たちの……というか駄神官の放心している姿を見て、前で俺たちを見ていたハゲデブ大神官がこちらににじり寄ってくる。


「…………………………………………………………………………………………………………………………………はッ!レイシュリュー枢機卿猊下!い、いえそれが……」


 話しかけられた後もしばらくフリーズしていた駄神官君だが、流石に無視はマズイと思ったのか、何とか復活。ハゲデブ—もといレイシュリュー枢機卿とやらにかくかくしかじか俺たちのことを説明する。


「ゲヘヘヘ………なんと!それは本当かね?ローデル君、ゲヘヘヘ」


 それを聞くと途端に深刻そうな表情を見せるレイシュリュー。だがいくらシリアスな雰囲気になっても無駄だ!


 お前の前置き&語尾のせいで完全にぶち壊しだからなッ!!!!


 だが二人は俺が生温かい目で見ているのも気づかず、他の召喚者たちのステータスを調べていた神官たちを素早く召集する。


「あいつら何やってんだ?隅っこでこそこそしやがって」


 横で天宮寺が本気とも冗談ともつかないことをのたまう。どうやらこの男、如何に自分がイカれたステータスを持っているのか理解していないらしい。


 おそらく奴の頭の中では、「このステータス、結構いいんじゃね?!」程度にしか認識されていないのであろう。無自覚系最強主人公かよ!!!!


 ……そういえば他の召喚者達はどのくらいのステータスなのだろうか?流石に天宮寺ほどの化け物はもういないだろうが、おそらくほとんどの奴が俺程度のステータスなのではないか?


 というかそもそもの大前提としてみんな勇者なんだろうな!?よくある巻き込まれ召喚の可能性もあるぞ……


 その時だった


「「……………ッ!?」」


 不意に、俺と天宮寺へ向けられた妙な気配に気づく。咄嗟に周囲を見渡すと




 憎悪と殺意に満ちた、酷く冷たい双眸と目がかち合った。


「…………………………金髪ドレス?」


 その主は、召喚されて最初に目にした、王女と思しきあの少女であった。


 その時は暖かく、まるで俺たちのことを祝福するかのような目をしていたが、今は完全に別物だ。人間の持つありとあらゆる負の感情を、は含んでいるように見えた。だが、俺にはそれを向けられる理由がわからない。


「なんだ?」


 俺と同じく彼女の視線に気づいたらしい天宮寺が、呆気にとられたように彼女を見ている。彼にも何故かはわからないらしい。


 が、何故なのかはすぐに分かった。直接的に分かったわけではないが、周りで次々と巻き起こる歓声が、それの証明となった。


「やったぜ!俺はBランクだ!」


「私もBランクよ!」


「俺はCだ!」


「くそ!Dだ!でもすぐに追いついてやる!」


 ランクがA以上のものは、聞いている限り一人もいない。Bがそこそこで、あとCのDが同数いるという感じだった。



 


「………………………………………まさか」


 天宮寺が呆けたように言う。こいつは能天気だが馬鹿では無い。おそらく俺と同じ結論に達したのだろう。


「……ああ、おそらく」


 彼らを見たときに感じる違和感は二つ。


 まず一つ目。


 高校生なのだから騒ぐぐらい普通では無いか?確かにその通りだが、思い出して欲しい。


 召喚前、俺たちがいたのは、講義中の予備校の教室。これまで数回同じメンツで講義を受けてきたが、講義中はおろか、授業前、授業後ですらうるさく喋っているのを見たことがない。


 しかも、そのうち何人かは絶対にお互い知り合いではないであろうはずなのに、和気藹々と喋っている。


 急に仲良くなり、打ち解けたのか?そう思いたいが、だが———


「……この状況でそれはねぇわな」


 苦笑まじりにそう吐き捨てる。そう、今は異世界に召喚されたばかりなのだ。突如、なんの説明もなく。


 そんな中で急に仲良くなった?あり得ないにもほどがある。


 まぁ、だとしてもまだ一つ目は、ケチをつけようと思えばつけられる。


 が、次の二つ目は、どう口八丁を並べようとも、決定的な証拠だった。


 瞳の色が、に変わっていたのだ。しかも瞳自体も、光を失い虚ろになっている。


 ステータス確認の前は、そんなことはなかった。


 これが、決定的証拠である。そしてこの二つから得られる結論は








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予備校の講義中に異世界召喚されたんだが 空母白龍 @HyoukaiSinano

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