予備校の講義中に異世界召喚されたんだが

空母白龍

第1部 立身編

召喚→大脱走

第1話 ちょっ、講義中なんですけどッ!?

「ようこそ我が世界へ、異世界の勇者様方!」


 目の前ですんごい派手なドレスを着た金髪美少女がなんか言っている。


 ……あれぇ、おっかしいなぁ?今の今まで山合塾の高三向け数学講座『数学III発展演習』の講義を受けていたはずなんだが。それがなーんでこんなことに?


 周りを見渡す。隣に座っていた男と目が合う。


「おい、浩大。これどういう状況?」


 慌てて目をそらしたが、遅かった。奴はこれ幸いとばかりに俺に話しかけてくる。


 そんなん俺が知りたいわ!


 ……と、言いたいが、なんとか我慢して無難なことを言っておく。


「…さぁ?勉強のし過ぎで頭がトチ狂ったんじゃね?」


「はぁ?何言ってんだお前」


 酷い……。折角の俺の小粋なジョークをマジレスしやがって。


 でもまぁ確かにそんな訳のわからないことを言っている場合でもなさそうだ。気づけば先程から延々とくっちゃべっていた金髪ドレスの話が終わり、その横に控えていた、やたらと高価そうな神官衣を着たハゲデブが薄気味悪い笑みを浮かべつつ此方ににじり寄って来た。


「ゲヘヘヘヘ、それでは私めが皆様のステータスを計測して差し上げましょうぞ。ゲヘヘヘヘ」


 何故最初と最後に「ゲヘヘヘヘ」をつける。もしかしてそれが素なのか?


 ハゲデブがそう言い終えると、それを見計らったかのように配下の神官たちが俺らを取り囲む。


 今更だが俺と同じ講座を受けていたのは二十八人。それらが全て召喚(?)されており、大広間のような場所の中央に集められていた。


 あと講師ももちろんいたはずなのだが、おかしな事に見当たらない。


 が、直ぐ意識から排除する。そんなことよりステータス確認だと?


 出たよ、転生チーレム物オタクの夢ベスト3には入ってそうなイベント!


 え、俺?まぁそれなりにはそういうジャンルのものも読む。


 さりとて自分がそうなりたいとは思わなかったが。別に学校でいじめられてるわけでもないし、友達も普通にいたし、彼女だっていたし(今はいないが)。なので出来ることなら今すぐ元の世界に返して欲しい。


 とは言っても、本当にそうなっちまった以上文句たれてても仕方ないっちゃ仕方ないな。


 そんなことを考えていたら、一人の神官が俺の前に来ていた。どうやら次は俺の番らしい。


「それではステータスを確認するので利き腕を出してください」


「こうですか?」


 すると


 ————————————————————

【基本情報】


 名前:山口浩大ヤマグチ コウダイ


 種族:人族


 性別:男


 称号:異世界の勇者、変革者イノベーター


 職業:未設定


 RANK:S


 HP:520/520


 MP:619/630


【パラメータ】


 STR:A 、 DEX:S 、VIT:S


 AGI:A 、 INT:SSS 、 MND:S


【その他】


 スキル:『全属魔法Lv5』、『異言語理解Lv1(カンスト)』、


 固有スキル:『収納魔法Lv99(カンスト)』

 、(『ステータス変更Lv99(カンスト)』)


 状態異常:無し

 ————————————————————


 神官が何やら二言三言呟くと、途端に俺の右腕の上に四角い板のような物体……と言うよりホログラムが浮き出る。


 よく見るとそこにはMMORPGやら某小説投稿サイトでおなじみの、『ステータス』とやらが細かい字で書かれていた。


「ふむ……Sランクの勇者様ですか。素晴らしい!しかもスキルに全属魔法まで!!」


 へー


 ……いやだってしょうがないでしょ!確かにSとかSSとかいっぱいあるから凄いのかなー、とは思うが、いかんせん情報が無さすぎる。


 例えばこの世界ではSが普通だったり、他の勇者たちはSSSSくらい難なく持ってたり?!


 と、そんな俺の内心を察したのか知らないが、凄い凄いと騒いでいた神官が俺の方を向いた。


「いやー、凄いっすねパイセン!ランクSとかマジやばワロスっすよ!E→D→C→B→A→

 S→SSって感じに分けられてんすけど、俺っち今までAまでしか見たことないっすよ」


 おいなんだその口調は、変わりすぎだろ。あとパイセンって何だ!


「パラメータだってゲロリッシュヤバスっす!こっちはD→C→B→A→S→SS→SSSって感じなんすけど、ミーやっぱりAまでしか見たことないお」


 俺は思った。解説、ありがとう。


 しかしほんとこいつ大丈夫か?こんなのが神官とかこの国終わってんじゃね?


 しかも最後の方キャラがブレてきてんぞおい。


 と、いい加減この駄神官に辟易していた俺の元に、あの男が近づいてきた。


「おい浩大。ヤベェぞこれ、マジヤベェ」


 ……なーんでこいつといい駄神官といい、俺の周りには「ヤベェ」を会話に含まないと話せないやつばっかなんですかね?


 軽く頭痛がしかけてきた俺の眼前に、奴はずずいっと自身のステータスを近づける。


 うっとおしいな……………えーどれどれ?


 ————————————————————

【基本情報】


 名前:天宮寺翔也テングウジ ショウヤ


 種族:人族


 性別:男


 称号:真の勇者、魔を撃ち払いし者


 職業:真勇者


 RANK:SSS


 HP:4900/4900


 MP:7190/7300


【パラメータ】


 STR:SSS 、DEX:SSS 、 VIT:SSS


 AGI:SSS 、INT:SS 、MND:SSS


【その他】


 スキル:『斬撃Lv5』、『鼓舞Lv5』、『状態異常耐性Lv5』、『物理攻撃耐性Lv5』、『魔法攻撃耐性Lv5』、『自動回復Lv5』、『飛翔Lv5』、『炎魔法Lv5』、『土魔法Lv5』、『光魔法Lv20』、『隠密Lv5』、『暗殺Lv5』、『異言語理解Lv1(カンスト)』、


 固有スキル:『真勇者の剣Lv99(カンスト)』、『真勇者の盾Lv99(カンスト)』、『魔王殺しの斬撃Lv99(カンスト)


 状態異常:無し

 ————————————————————



 ……………………………………………………………………………………は?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る