煙草の煙

冷凍氷菓

煙草の煙

 深夜十二時頃、静まり返った街の街灯の下でタバコを一本吸う。

 自宅からピースを数本缶からケースへと移し持って来たのだ。ピースはいくらかは高価であるが昨年、私がタバコ好きなのを知っていた友人が誕生日の時に缶のピースをプレゼントしてくれ、その時から私はピースの虜となった。

 缶を開けたときのあの香りは部屋全体へと広がりはたまらなく良い香りなのだ。甘く心地良い。もっと早く知るべきだったと私は悔やみもした。 

 それまではゴールデンバットをよく吸っていたが、高価でも良いものを吸うほうがやはり良い。 

 タバコを吸いながら私は寒空に浮かぶ無数の星々を眺めている。

 なぜなら、もう時期人類はあの星々を手にできると私は確信していた。今年の夏、ロンズ合衆国は月面への着陸を成功させた。

この十年以内での宇宙開発は目まぐるしいものがあり八年前に初めての有人飛行に成功し今日の月面着陸まで進んだ。もう十年で人類は太陽系を制覇するのではないかと私は思っている。

 これからの時代、すなわち宇宙時代には夢や希望が溢れている。そのニュースを見たとき、興奮を抑えることができず学生である私は、友人と分かち合った。そして未来のこと夢や希望を語り合ったのだ。

 我が国の南に位置する大沖諸島返還のニュースなどちっぽけに感じて仕方がない。

 だが、ロンズ合衆国とのこれからの関係が今以上に友好的となれば我が国でも宇宙時代への参入が恐らく可能となる。そこは喜ばしいことである。

 私はそんな宇宙への希望を抱き煙草の煙を空へと吹きかける。

 これから私も忙しくなるだろう。宇宙船の製造への私の夢は友人と語り合った物の一つである。夢を与えてくれたこの事象に私は感謝しながらタバコの吸殻を捨て、火を靴ですり消すのだった。

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煙草の煙 冷凍氷菓 @kuran_otori

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