番外編
番外編Ⅰ 平井悠真
番外編です!
「悠真ー。」
そう俺を呼ぶのは隣の席の
「うぅ…。」
「どうしたの?悠真。さっきから唸ってばかりで。」
「宿題が終わらないんだよー。」
それを聞いた裕人は、少し驚いた顔をした。
「えっ?悠真が?珍しいな。俺なんか終わらなくて諦めてるぜ。」
いや、そこは諦めちゃまずいと思うんだが。俺が苦笑いをしていると、もうチャイムがなり、先生が来てしまった。宿題を出す教科は次の時間だが、まだ時間はある。授業中にやれば終わるはずだ。
---------------------------------------------------
どこかで、大きな音がした。誰かが何かを落としたのだろうか。今はもう昼休み。周りは弁当を食べたり、食堂に向かう人などで埋め尽くされていた。
五時間目の授業中、なかなかさっきの音の原因がわからなくて、ずっとそわそわしていた。それを見て心配したのか、隣の裕人がしきりに声をかけてくる。
「悠真大丈夫?」
「?…あぁ…ちょっといろいろあってな…」
季節は夏。ただでさえ暑いのに、不安な気持ちが重なって、どんどん体調が悪くなって行く。
六時間目が、終わった。いつの間に寝てしまっていたのだろうか。不思議なことに全く授業ノートが書いていなかった。帰りの準備をするために、席を立ち上がった。
「ガタンッ!!」
「!?」
まただ。しかも今度はさっきよりも音が大きい。周りの人も気づいたみたいで、口々に
「何?何が起きたの?」
「えっ?」
とパニックになっていた。
数分すると、先生が来て、
「安全確認のため、今日はホームルームなし!速やかに下校するように!!」
と告げた。周りの人はそれを察知していたのだろうか(笑)。先生が言い終わった時には、すでに教室に誰もいなかった。
「おーい!悠真ー!!」
校庭からだ。そして声の主は、裕人。見ると、早く来い、と言う風に手を振っていた。
「わかってる!」
「ここでまってる!」
靴を履き替えて校庭にでようとした。すると校庭から、「悠真っ…!」という声が聞こえた。待たせるとまずいな。
急ぎめに校庭に出ると、そこには誰もいなかった。いや、いたといえばいた。黒いマントを被った「何か」が、こちらを見てからそのまま消えていった。
「悠真?おーい!どこだ?」
どこにもいない。先に帰ってしまったのだろうか。
その時だった。俺はある言葉を思い出した。
「悠真っ…!」
そうだあれはよく聞いたら俺を読んでいたのではないのではないか。もしあれが俺に助けを求めていたのだとしたら?そのせいで裕人はどこかに消えたのだとしたら?
そんなこと、普通に考えたらあるわけ無い。そうだ、きっとそうだ。俺が行くのが遅くて、先に帰ってしまったんだ。
なのに何故だろう。俺の脚は恐怖で動かなかった。
続く
とある真夏の校庭にて Lewn(レン) @setokousuke
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。とある真夏の校庭にての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます