日本←ロンドン←手術 ? 1-1

「うう…」

 草むらをかき分け中に入ると、そこには膝から血を流した同い年くらいの少女が倒れていた。

「おいっ…お前大丈夫か!?おい!」

しかし少女は目を開けない。焦った僕はホテルまで戻り、お父さんを連れてきた。お父さんは医師免許をぎりぎりとれている。しかしお父さんはその少女を見ると一瞬「チッ…」

と呟いた。そして、

「これは相当な出血量だ。おれの手には負えない。」

といって誰かに連絡を始めた。おそらく知り合いの医者だろう。しばらくすると、「わかった。ありがとう。…もうすぐ知り合いの医者が来てくれる。」

と少女に話しかけるように言った。しかし、何故か父の顔は少女を残酷に嘲笑っている用だったのだ。さすがになんでかは聞けないし、僕は黙っていることにした。

 五分くらい経っただろうか。だんだん救急車のような音が聞こえ始めた。そのときだった。急にその少女がしゃべりだした。しかも日本語を。というかよく見たら日本人だ。

「うう…君、名前は?私、沙耶。」

「ぼ、僕?僕は、恭介。」

急な出来事に戸惑いながらも一応答えた。

「そっか…恭介君か…たすけてくれて、ありが…」

そこまで言って彼女は目を閉じた。

「え…?おい、目を開けろよ…おい…」

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