第1話 想像、創造

森の中の記憶Ⅰ

ふわぁ。朝から移動か。今の時間は、午前5時。と言っても、ここはロンドン。日本とは9時間も時差があるから、日本時間は午後2時。いまは、お父さんの仕事の都合でロンドンに来ている。でも、あと一ヶ月位でまた日本に帰るんだけどね。一々ロンドンに家を買うわけにはいかないので、安いホテルに寝泊まりしている。だから、1週間ごとにホテルを移動している。でも、そのおかげでロンドンの街も大体覚えて来た。

恭介きょうすけ、ついたぞ。ここが新しいホテルだ。」

そこは、今までとは比べ物にならないほど綺麗なホテルだった。

「お父さん、こんな高そうなところでいいの?」

「いいんだよ。最後くらい。」

少々違和感を覚えながらも、荷物を置いて、早速外を歩き始めた。

歩いてしばらくすると、森にたどり着いた。その森は暗く、葉が茂っていて、いかにも何かが出て来そうだ。しかし僕は、勇気を出して、その森に入る。すると、案外怖くないところだった。動物は安全な動物、危険な虫もいない。騒音だって聞こえてこない。後で知ったことなんだけど、そこは市が育てている森らしい。

そして僕が次の一歩を踏み出した時。後ろで「ガサッと音がした。草むらが動いたのだろう。ということは、そこに何かがあるはずだ。好奇心を抑えられなくなり、僕はその草むらに入る。そこにいたものを見てしまったことが僕らの゛腐れ縁゛の始まりだった。

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