第13話 スーツ紹介 十六夜1
自己紹介とパワードスーツ貸与の諸手続きをした日から二週間後、僕たち第一次テスターとそのEP御一行は再び全員、完成したスーツを受け取るために国税庁は会議室に集まっていた、正直、すごく興奮している、僕専用のパワードスーツの出来が楽しみすぎて昨日あたりからずっとそわそわしっぱなしである、無論それは僕だけではないようで他の二人も始終落ち着きなさげにしていた、そしていよいよ乾燥のご対面の時が来た。会議室の扉がゆっくりと開かれ、扉がストッパーで固定されるとまず、諸星博士が顔を出し、その後から黒服の男たちが人一人丸ごと入りそうな黒い棺のような何かを会議室に運び込み始める。
あれがスーツなのか?と僕が思考に耽っていると諸星博士が喋りだした。
「諸君、おはよう、今日は君たちが待ちわびていたスーツの引き渡しを行う、今日よりこれらスーツは諸君らの鉾であり盾である、一日も早く使いこなして、任務の遂行に役立ててほしい、では今回もEPの番号が若い順から前にきたまえ。」
博士にそう促され姉小路さんペアがそれぞれのスーツが格納されている黒棺の前に立つ。「では、まずテスターたる姉小路君のスーツから御開帳といこう」と博士が言うと黒棺の前の部分が自動扉のように二つに分かれて開き、その奥からスーツが手前にスライドして姉小路さんのスーツがその神秘のベールを脱いだ、そのスーツを視界に入れた時僕は思わず「おお~」という感嘆の声をあげてしまった、姉小路さんのスーツは赤と黒のコントラストが至上の美しさとカッコよさをかもし出す、某〇ーナビー系スーツだった。ちなみに僕が感嘆の声をあげた時、
御陵君も「ほお~、バー〇ビー系統できましたか、ほお~」と小声で言っていた。スーツの目が切れ長の悪や悪魔を彷彿とさせる鋭いものになっているのもインパクトがあるなと思っていると諸星博士が姉小路さんに問いかけた。
「どうかね?要望書どうりの物にできているかね?」
「ええ、完璧ですよ博士。」と姉小路さんも満足そうに答えた。
「よし、デザイン面が問題ないなら次は機能面だ、まずは姉小路君のスーツに常駐するサポートAIから紹介しよう、マンダリン、みんなにあいさつを頼む。」
と諸星博士がいうと、今まで沈黙を守っていた黒棺の中のスーツが起動し、「了解しました。」という若い女性の声がスーツから発せられ、日本語で流暢喋り始めた。
「姉小路十六夜様専用パワードスーツ常駐サポートAI(マンダリン)です。姉小路様の任務遂行の手助けをあらゆる面からサポートさせて頂きます。姉小路様以外の方々も通信や連絡で接する機会も多くなるかと思います、どうぞ私のことは気軽に(マリン)とおよびください。」と挨拶してきた、まあ、EPが作れるんだからパワードスーツ用サポートAIくらいあって当たり前なのかもしれないが、それでも思わず目を剥いてしまった。
ジャンカーズ 聖護院阿闍梨 @mei0348
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