第8話
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海はもう目の前まで迫っていた。
せわしなく行き来する波が、僕の抜け殻をぐずぐずに濡らす。
今なら海の底に向かった彼女の隣にいけるかもしれない、なんて馬鹿なことを考えているわけではない。ただたんに、こうするべきなんだと思っただけ。
春が終われば桜が散るように、夏の一週間が過ぎれば蝉が死に絶えるように。
彼女が昔、壊れたロボットを海に捨てたように。僕も、僕の抜け殻を海に捨てるべきなんだと、そう思っただけ。
海の底のロボット 洞貝 渉 @horagai
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