第7話
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再び起動した時には驚いた。とっくに破壊されていて、二度と起動することなどないと思っていたから。
さらに、そこが研究所でなかったことにも驚いた。ここは僕の部屋だ。僕は一体どのくらい電源の落ちた状態でいたのだろうか?
目の前の状況をすぐに把握することが出来なかった。
僕の狭い部屋は、あちこちに飛び散った人間の体液で赤く染まってしまっている。もともとは彼女であったはずの原形をとどめていない物体を抱きかかえ、起動したばかりであろう彼女そっくりのロボットが、彼女のマフラーを巻いてにこにことうれしそうに笑っている。
彼女そっくりのロボットは僕が起動したことに気付くと、コンパクトになった彼女を抱えて部屋を出ていく。そしてそれに僕も続く。
彼女そっくりのロボットは塊と化した彼女の中に手を突っ込んで中から鍵を取りだした。それから路上に駐車してある車の一つに近づき後部座席のドアを開ける。その車の後部座席には僕の古い方の体が置いてあった。彼女そっくりのロボットはその隣に彼女の塊を置いてからドアを閉め、今度は助手席のドアを開けて僕に乗るよう指示する。運転席に滑り込んだ彼女そっくりのロボットは、隣に座る僕を見てうれしそうに笑った。
「あれが私を起動させてあれが私にデータを入力してくれたの」
彼女そっくりのロボットが言った。
あれ、とは彼女のことだろう。
「あれがこれから私のするべきことを教えてくれたの。何だかわかる?」
僕は静かに首を振る。
「私はこれから海に行って、あれと一緒に壊れたいも虫のロボットと植物のロボットを海の底へ探しに行くの。とても素敵な役目でしょ?」
彼女そっくりのロボットがするりと車を発進させた。少し車を走らせると、隣のロボットがまた口を開く。
「私はこれから海に行く。あれと一緒に海に行く。それが私のするべきことなの」
「……」
「あれがあなたに伝えておくようにと言っていたことがあるの。あなた、知りたい?」
僕は一瞬答えにつまる。ロボットは僕の困惑などおかまいなしに勝手に言葉を続けた。
「この車のトランクに改良したバッテリーを入れて置いた、人間の寿命程度には稼動し続けることが出来るだろう、後は好きにしろ、だって。あなた、どうするの?」
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