一般的な恋愛小説やそれに準ずるタグが使用された小説とはまた違う主軸によって動く物語のように感じました。
「先輩」と「後輩くん」・・・・・この二つでしか登場しない二人は、ほとんどその情報は書かれないですし、細かな感情表現もありません。ですが、何故かそこで読者に感情を理解させられるような文章になっていて、気付けば終わっているような感覚でした。
唯一。物語の進行がかなりザックリとした感じでした。短編ですし、二話なので事細かな話ではないことが事前に分かってはいたのですが、何かしらの記念日やイベントの起こる日を描かれているだけなので、準恋愛小説のような類だと感じてしまいました。
また、終わり方に少しだけ物足りなさを感じました。小説とは、筆者の考えを読者が想像し、共感するものだと思っていますが、それでも(本編の)終わりと(エピローグの)始まりとの接続に多少の違和感を持ってしまいます。
総合的に、簡単にそこまで個性の無い恋愛小説、というのが感想ですが、中々に珍しい部類の小説だとも思います。登場人物の少なさや感情の揺れの少なさの中で描かれた「先輩」と「後輩くん」の小説で、良い読書経験にもなったように思えます。
ネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。
僕が好きなとある漫画を思い出しました。きっと偶然でしょう。主人公は思った以上に我儘なような気がします。ずけずけと勝手に本のタイトルを読むのはいかがなものかと思いました。それに対して相手は正直な人で、ずれているようですが、変に強く怒ったりしないところが魅力です。主人公の悪いところをさりげなく、ずばずばっというところが良いのかもしれません。主人公から歩みよるのが大事なように思えます。なぜなら相手は何を考えているか分からないというか、自分独自の世界を持っていそうに思うからです。
続きが気になりました。