エピローグ
「ただいまー、っと」
あー、今日も疲れた。といっても今日の大学の講義は午前中だけ。でも朝飯食ってなかったから腹が減ってしょうがない。疲れも余計に感じるというものだ。
なにか食べようと、荷物を置きキッチンに向かう。すると、なぜかホットサンドトースターで焼かれた食パンがそのまま置いてある。なんだ、一体どういう状況なんだ。・・いや、そう言えば母さんから、朝部屋に来て掃除をしておいたとメールが来ていた。母さんが焼いてくれたのだろうか。とりあえずパンを掴む。まだ温かい。・・食べられる、よな?
ガジッ。
「うまっ!何これ。見た感じ味付けとかされてないのに・・」
母さんこんなにパン焼くの上手かったのか。それとも、このトースターが意外と凄かったのか?
こんなにうまいと思うパンを食ったのは、ゆかりちゃんがバイトしてるパン屋以来だ。
ゆかりちゃん、ほんとにパンが好きだからなあ。自分でもよく焼いてて、ついにはバイト先でもたまに商品用のパンを焼かせてもらえるようになったと言っていた。俺はずっと食べるだけでパン屋に通ってたけど・・。
(私ね、食べてくれる人も私も、そしてパンも、みーんなが幸せになれるパンを焼けるようになりたいの!)
彼女の言葉を思い出す。まるで無邪気な子どものような笑顔で、彼女は俺にそう教えてくれた。
「このトースター、買ってからあんまり使ってなかったけど・・」
俺はパンが好きだ。そしていつしか、それが大好きなゆかりちゃんに惹かれるようになっていた。
「ちょっとパンの勉強してみようかな・・」
下心がないと言ったら噓になる。でも、俺も彼女の幸せ作りを手伝いたい。そんな気持ちで俺はそう呟いた。
焼きあがる程にあつい恋 何かしらの大福 @tmdk1517
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます